某剣客浪漫世界で私は物書きをする。 作:SUN'S
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月の魔物 序
左之助さんとオオイミの打撃戦は止まらない。
いえ、何度か止まる度に動きを変えて、オオイミは左之助さんに迫り、荒々しくラッシュを放つ。まるで、分かっているようにパンチを放つ。
見えている。いえ、どちらかといえば知っている動きをなぞっているようにも見えます。アレは、般若の動きだと気付き、オオイミの動きを見れば分かりました。
全部、左之助さんの戦った相手の動き。
「自分を、正義とするつもりですか?」
思わず、そう聞いてしまった。
ピタリと動きを止めたオオイミの視線は虚空を見つめるように見えましたが、見据えるのは私という女を掴まえて、勝利を宣言するという妄執です。
「左之助さん、蛮竜を!」
「呼ぶ暇がねえ!」
「来い、槍よ!」
まるで、自分なら呼べるというように叫ぶオオイミでしたが、来たのは槍ではなく剣。月の王国の宝剣マガツキに私は顔色を青くした。
人の怨嗟が聴こえる。
憎しみと怒り、妬み、殺意─────。
「余の獣の槍で貴様を倒す!死ね、白面!」
「オレは白面じゃねえ!!」
オオイミの振るうマガツキの柄に向かって二重の極みを撃った左之助さんは右腕を突き出すと空間を切り裂いて、蛮竜は飛来し、左之助さんは雷撃を纏う。
「オレの女に手を出すんじゃねえよ」
「来るか、奈落!」
「ブッ殺すぞテメェ!?」
流石に奈落と左之助さんを重ねるのはやめてほしいのですがと思いながら、左之助さんの振るう蛮竜とオオイミのマガツキは衝突し、私は身体を浮かせ、地面から弾かれてしまう。
「きゃあっ!?」
借りるわよ、身体!
その言葉の後、私の髪は伸びて剣に変わる。
トヨウケビメの剣は、髪の毛と驚きつつ、左之助さんが戦うことよりも私を優先してくれ。蛮竜の結界の中で私は左之助しんと一緒にいます。
「怪我はねえか」
「だ、大丈夫です」
「それなら構わねえが」
そう言うと左之助さんはオオイミを睨み付け、オオイミは向かい合うようにマガツキを構えた。今度はしとりの構えに似ています。
「オレの娘をバカにしてんのか。てめぇ」
左之助さんは怒り心頭でオオイミを睨む。それもそのはずです。剣の構え方が明らかにしとりとは違う。しとりはもっと綺麗に繊細に構えます。
───ですが、オオイミは大雑把です。
「余の構えに勝てるか」
「しとりの剣だ。殺すぞ」
「来い!」
オオイミがそう叫んだ瞬間、蛮竜の刀身は金剛石に変化し、宝剣マガツキの邪気を粉砕し、鍔迫り合いでオオイミのことを押し返す。
「トヨウケビメ、余に声援を!!」
「オオイミ様、負けないでくださいませ!ちがっ、左之助さん、違います!」
「分かってる、お前の中にナニカいるんだろ!!」
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