左之助さんの振るう拳はオオイミを貫き、吹き飛ばした。
「二度と来るんじゃねえ!」
その叫びは怒りよりも面倒臭さを感じました。いえ、実際に疲弊し、倒れそうな左之助さんを私は身体で支えている状態でオオイミを見ています。
「フ、フハ、負けたのか。余が」
うわ言のように呟いて、左之助さんを見つめる目は怖く暗く恐ろしいほどに燦々と輝いています。ようやく欲しかったオモチャを買ってもらえた子供のように左之助さんのことを見つめている。
「相楽、左之助!次に会うときは貴様を殺してトヨウケビメを取り返す!絶対に余は諦めないからな!!」
自分の言葉は主人公のセリフのように聞こえているのか。恍惚と笑みを浮かべて、オオイミは消えました。正確には空間を切り抜いて、月の王国に帰ったと言うべきでしょうか。
「ッ、くそ。マジで身体がイテェ…!」
「さ、左之助さんっ、ごめんなさい、ごめんなさい、また私のせいでこんなにっ」
「......お前のせいじゃねえよ。それより景の身体ん中にいるヤツ、トヨウケビメだったか?さっさと景の身体から出ていけよ」
「そ、それはいやよ。この身体は譲り受ける約束をしたわしてませんっ!」
「は?」
私の声なのに明らかに違う声に困惑する左之助さんの目付きが鋭くなり、地面に押し倒され、顔を捕まれて見下ろされています。
「しゃ、しゃのしゅけひゃんっ」
「ッ、あ、ああ、悪い」
私の顔から手を離した左之助さんの目付きは恐ろしく、独占欲のようなものが溢れているのが分かり、顔を赤くして左之助さんのことを見つめてしまう。
「あの、ごめんなさい」
「謝るな。さっさと出ていけ」
「うぅ、私に言われていこの身体で出ていくわよ。さよならるみた、え?」
歩き出そうとする身体を掴まれ、左之助さんの腕の中に収まりながら、不安げに左之助さんを見上げます。蛮竜を担いだ左之助さんは「あとで聞かせろ」と呟く。
逃げ道はありません。
「ひぃんっうるさいわねひぅぅ」
「一人芸みたいになってんぞ」
鏡面世界を出るとドクトル・バタフライが真剣な顔付きで佇んでいました。左之助さんもうなずき、私は居間ではなく大広間に連れていかれ、汚れた身体は着せ替えカメラで変えられました。
「な、なんでミニスカ着物なんですかっ」
「逃げないようにしてくれと左之助君に頼まれたからね。まあ、糸色君は逃げても動けないだろう。しかし、トヨウケビメ君は違うからね。見ていたよ、髪を剣のように操っていたね」
「あ、確か本来は蹴りよに......」
あの、せめて喋らせてほしいです。