神谷越路郞の手懸かりを求めて田本写真館へ向かう緋村剣心達と一緒に八幡坂を歩く。まあ、私はしとりを抱っこして、その私としとりを左之助さんがお姫様抱っこする形で運ばれているけど。
井上君達は交易場で仕事をやっているものの。久保田さんは磯の香りが服に付いて少し嫌そうにしていたようにも見える。まあ、仕事が終わったら一緒に砂金を取りに行く約束をしているから頑張っているはずよね。
日本のゴールドラッシュは明治三十年、まだ先の未来ということもあり、未だに砂金の存在に気付いている人は少ないので久保田さん一人なら問題ない。
「Openってことはやってんのか」
「左之助、読めるの!?」
「嬢ちゃん。五年間、オレが景としとりと世界を渡り歩いてること忘れてねえか?」
「え?あっ、わ、忘れてないわよ!?」
「まあまあ、先ずは店に入るでござるよ」
薫さんの慌てた言い訳に左之助さんは「どうせ、オレはバカに見えるよ」と不貞腐れてしまう。そういうところがギャップになって、ものすごくドキドキしてしまうのは皆には内緒です。
「色んな写真がありますね」
「花や風景、人々の姿もあるでござるな。糸色殿は写真を撮った経験はあるでござるか?」
「
「やはり写真は危険な物でござる」
「え?」
いきなり、そんなことをボソリと呟いた緋村剣心に驚く。いや、そういえば昔の人って「写真は魂を抜き取る」とかいう変な迷信を信じていたっていう話は生まれ変わる前に聞いたことがあるけど。
えっ、まさか緋村剣心もそうなの?
ちょっとだけ意外な気持ちと、そういえば緋村剣心は三十路を越えていることを思い出して彼の若々しい顔に驚愕する。……私は老け顔とか年上って言われるのに。
「剣心、一緒に撮りましょう!」
「……薫さんが呼んでますよ?」
「……拙者、急用が出来そうな気が」
「阿呆な事言ってねえで撮ってこい」
いつの間にかやって来ていた田本館長の待つ白幕の前に運ばれていく緋村剣心をしとりと一緒に見送り、私を怪しんでいた人のビビる姿に少しだけ溜飲が下がる。
「景としとりも家族写真撮るか?」
「んや!」
「しとりは嫌だって言ってますね」
左之助さんは残念そうに頭を私の胸元に押しつけるしとりの頭を撫でて、カチコチに固まって緊張している緋村剣心を励ます薫さんと、よく分かっていない剣路君は笑顔で二人の間に立っている。