ドクトル・バタフライによる謎の実験は続いています。私の血液を何に使うのかと不安になりますが、明治時代に生きる転生者は大体血液を提供しているそうです。
「トヨウケビメさんの血液なのに、なぜ私の身体で血液を提供しているのでしょうね」
「一心同体じゃない」
「二心同体ですね」
「連れないわね」
「そういうものですよ」
私の口と身体で溜め息を吐くトヨウケビメ。左之助さんもしとりも諦めていませんが、ひとえは普通に受け止めて、接しています。
やっぱり、ひとえの性格は少し私に似ています。
しとりは楽しそうにしていますが、いつでも幽霊の身体を切り裂けるように準備していますし。やっぱり、そういうことを考えているのでしょうね。
そう、トヨウケビメ分離作戦を。
一時的とはいえ妖怪大魔王が私の身体の外に出ていたところを目撃し、しとりはトヨウケビメも出きると確信しています。
トヨウケビメ本人は出来ると言っていないのですが、おそらく出来るのでしょうね。私にも感覚的なものですが、分かってしまいます。
「ん、おはよう。母様」
「ひゃわっ!?し、しとり?」
すりすりと頬を擦り付けるように抱きついてきたしとりにビックリし、大きな声を出してしまったことを恥ずかしく思いながら、しとりの頭をよしよしと優しく撫でてあげます。
最近のしとりは、いつもよりスキンシップは多くトヨウケビメの意識がないときに、唐突にやって来てこのようなことばかりします。
悪いとは言いませんが、心臓が持ちません。
チラリとしとりを見ます。
「(ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!ん!かわいい、母様のビックリした顔好き、もっとみたい!)どうしたの?」
「あ、あはは、なんでもないですよ」
私の精神世界にしとりがやって来た日から、どうにもしとりの心の中の物事が聞こえるようになってしまいました。時期に収まるとは思いますけど。
「(ん!かわいい!すき!母様、へにゃってしてる!ぎゅうってしたい!)ん、母様はお仕事?」
「いえ、今日は何もしませんよ。しとりとひとえにお裁縫を教える約束ですからね」
「ん、うれしい」
「かーさま、ねーさま、おはよう!」
「(ん!ん!ひーちゃんかわいい!!よしよしたい!)ん、おはよう、ひーちゃん」
「んぇへへぇ」
「ん、かわいい」
よしよしとひとえのことを撫でるしとり。左之助さんに似て、しとりは本当に家族が大好きな、素敵な女の子になってくれて、お母さんは嬉しいです。