緋村剣心達は写真を取っている間、私としとり、左之助さんはお店の中に飾られた写真を眺める。綺麗な風景を切り取った写真の数々に懐かしさを感じながら、ふと椅子に腰掛けた人物の写真が目に止まる。
日付は明治十六年、今年だ。
「……姿、お兄様?」
そこに写っているのは冒険家や探検家を自称し、世界各地を放浪している筈の私の実兄・
よく見ればお兄様の腰には刀が有り、周りの方々も日用品を模しているが武器として活用できる物を持って、静かに此方を見つめているのだ。
「お兄様って、景の兄貴なのか?」
「は、はい、でも、どうして函館に?」
いや、五年も日本を離れていた私に姿お兄様の航路を知る方法は無かった。
お父様もお母様も冒険家として活動し、世界の秘密を探ろうとするお兄様を応援していたし。この函館にいるのも何かしら見つけるためかも知れない。
「……田本のおっさんに聞くか?」
「そう、ですね。折角だから姿お兄様にもしとりのことをご紹介して上げたいです」
そう左之助さんと話していると人力車が田本写真館の前に止まるのが見え、お客さんが来たのかな?と壁際によって邪魔にならないようにしとりを抱っこする。
「おろ。お主は確か」
「お久しぶりです、新月村の三島栄次です!」
「あの時はありがとうございました。兄の三島栄一郎です、緋村先生」
「剣心の知り合いか。あのじいさんもツテがあるとは話してたが、どういうツテなんだ?」
「なんだあ?」
コテンと小首を傾げて左之助さんの真似をするしとりの頭をヨシヨシと撫でてあげながら、新月村で殺されていた筈のお兄さんが生きていた事に、ほうっと安堵の溜め息を吐いて三人の会話を見守る。
いよいよ、剣客兵器との戦いが始まる。
自衛手段の無い私としとりは薫さん達と一緒に待つことになるけど。緋村剣心は原作と違って核鉄の治癒力を受け、五年間の療養を経て身体の不調は殆んど皆無に近しい状態だ。
いや、ひょっとしたら全盛期たる幕末の頃に近いかも知れない。左之助さんも素手ではなく、蛮竜という武器を持っているため酷い怪我を負うことはない。
「阿爛達にも話しとかねえとな。それに」
「嗚呼、おそらくアレが関わっている」
誰にも聴こえないように小さな声で呟いた二人の言葉に私は懐に仕舞ってある核鉄に触れる。出産の時に手助けしてくれた核鉄の殆んどはドクトルに返したけど、このシリアルナンバー「XX」だけは返せていない。
何か、この核鉄に私は意思の様な物を感じるのだ。