某剣客浪漫世界で私は物書きをする。 作:SUN'S
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オオイミ王 急
「イテテッ」
「動かないで下さい」
寝静まった夜の家。左之助さんの血を拭き取り、消毒薬と清潔な布を使い、傷を洗い、軟膏を塗っていく。青アザはありますが、骨にヒビはない。
それは良かったと思うべきなのでしょうが、トヨウケビメからの愛情を感じます。これは、あれです。左之助さんに好意を抱いていますね。
絶対に浮気は許しませんよ?
「......なんか悪寒が」
「大丈夫ですか?」
「......まあ、お前に近づいとけばいいか」
「あら、冷やすわよ?」
「トヨウケビメさん、唐突に来ましたね」
ぬるりと当たり前のように意識を出して、話し始めるトヨウケビメにビックリしながら、チラリと左之助さんを見上げると「お前、この瞬間かよ」と言い、面倒臭そうにしています。
私の身体なので実質、私です。
─────ですが、浮気はダメです。
「分かってるわよ。景も心配性ね。私は不倫するつもりなんてないわよ。そもそも同じ身体にいるのに、どうやって不倫するつもりよ」
「言われてみればそうですね。たぶん」
「たぶん?」
強くない私では負けてしまいます。
どうすればいいのでしょうかと不安になりながら、私はまたズキズキと痛む胸を撫でて、ゆっくりと深呼吸を繰り返します。
「大丈夫か?」
「はい、少し不安なだけです」
「浮気はしねえよ」
そうですね。
イヤと言っても褥に連れていくぐらいですものね。私は弱っている身体であんなことされるのは、その、えと、まあ、はい。
コホンと咳払いをする。
わざと煽るのも笑うのも禁止です。
私は普通に主婦なのです。
「普通の主婦は結界なんて張れないわ」
「アレはモヂカラです。歴とした科学に基づく具象化の原理なので問題ありませんよ」
「ものすっっっっっっごい屁理屈ね」
「屁理屈ではありません」
そう言っているものの、屁理屈にも聞こえますよね。ですが、私の身体にいるのですから、少しだけでも譲歩してほしいのです。
.........のですって。
なんだか子供っぽいですね。
いえ、自分でいうのもあれですが、そこそこ、ほんのちょっとだけ、大人の魅力はあると思うんです。思うんですけど、あるのでしょうか。
「悩んでるけど。どうしたんだ?」
「この子、魅力がないと思ってるのよ」
「は?景はむちゃくちゃ助平だろ」
「へ?は、はぃ!?な、なにをっ」
「あらあ、まあ」
ニヤニヤとするトヨウケビメにわざとだと確信しつつ、左之助さんの言葉に頭が痛いほどに顔が熱くなるのを感じてしまいます。
反則、反則です。
す、すけべじゃないです。
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