一通りの説明を終えた緋村剣心と左之助さんの言葉に困惑、いや面倒臭そうにしている長谷川君達の気持ちは分かるけど。
そういうのは表に出さないの。
「あ、糸色殿も来て欲しいでござる」
「え?」
「お前の名前も呼んでるらしくてな」
「…………拒否権はありますか?」
「「斎藤絡みだから無い」」
左之助さんと緋村剣心の二人の言葉に私はションボリとしながら、しとりを危ないところに連れて行くわけにもいかず、どうしたものかと考える。
今年で三歳になったけど。
まだまだ彼女を誰かに預けたりする様な歳とは言えない。連れていくしかないけど。でも、剣客兵器って名前からして怖いのよね。
「左之助さん、守って下さいね?」
「おう。いつも通りだな!」
そう言って笑う左之助さんに安心感を抱きつつ、スヤスヤと眠っているしとりを抱っこしてあげる。三島栄次が馬車を用意してくれたいるらしいけど。
「よし、行くか!」
しとりと一緒に馬車に乗り込みながら薫さんに「向こうでもお父さんの事をお聞きしてみます」と告げ、左之助さんの手を借りて車内の柔らかな椅子に腰掛け、緋村剣心と三島栄次と向かい合う。
重苦しい空気が、辛いです。
しかし、それにしてもだ。
「どうして私を呼んだんでしょうね」
「確かに、そうでござるな。糸色殿を呼ぶとなると、やはり兵器開発の手助けを得るためか、新造兵器の図案を書かせるためか」
「えっ、この人はそんなにヤバッ、すごい女性だったんですか!?」
「「「(今、ヤバいって言い掛けてた)」」」
三島栄次の辛辣な言葉に泣きそうななりながらも左胸のところに仕舞っていた核鉄が熱を帯びている。北海道は寒いから温かくていいけど。
やはり、何かを求めているのは分かる。
……そういえば長谷川君が近くに居るときが一番熱を帯びていたかも知れない。ひょっとして、彼も何か武装錬金に関わる物を持っているのだろうか。
「……そろそろ着きます。此処からは徒歩になりますので外套が必要でしたら自分の物をどうぞ」
「ああ、ご丁寧にありがとうございます」
「景としとりはオレのを使いな」
三島栄次の着ていた外套を受け取ろうとした瞬間、左之助さんは自分の着ていた外套を脱ぎ、半纏を厚着していた私に外套を乗せ、半纏に包まれていたしとりも外套の中に埋まる。
「……左之助さん、嫉妬してくれるのは嬉しいですけど。前が見えないです」
「お、おう、そうだな。悪い。これならどうだ」
今度は肩に羽織るように外套を着せ、私としとりを包んだ左之助さんは徐に私の肩を抱き、膝裏に腕を通してお姫様抱っこしてきた。
なんだか此処が定位置に成りつつありますね。
「仲良しで良いですね!!」
「栄次は良い子でござるなあ」
そう、緋村剣心は染々と呟いた。