某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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壬生狼の再来 序

「そんな大変な事に……景さん、その黒歴史ノートというのを僕に見せてくれたりとかは」

 

「するわけないでしょう」

 

交易場で内情視察に加わっていた井上君達も旅館に帰ってきた後、特に隠し立てする必要もないので左之助さんと緋村剣心は函館で起こっている剣客兵器と物騒な事実を語り、昨晩は二人の追求を受けていた私に薫さんだけが優しくしてくれる。

 

しとりは剣路君と旅館内の探検に向かっているし。癒しが薫さんだけしかいないのです。緋村剣心が部屋に帰った後は別件の嫉妬をぶつけるように左之助さんにッ……コホン。この話は違うわね。

 

着物の中に洋服を着ることになって、なんだか書生風に見けるけど、袴は履いていない。

 

「しかし、糸色殿はやはり面倒事の中に居ることが多いでござるな。五年前は剣客警官隊、武田邸で御庭番衆に、芸術家など様々な者に狙われていた」

 

「今は剣客兵器を名乗る集団だ。少なくとも分かっているのは景の兄貴が向こう側に居ること、凍座白也の目的は富国強兵ってことだけか」

 

「景さんのお兄さんがいるの?」

 

「……はい。少なくとも姿お兄様は悪事に手を染める方ではありません。───ですが、もしも姿お兄様が敵にいる場合、左之助さんは絶対に捕まえたりしようとは考えず、気絶させるつもりで戦って下さい」

 

その言葉をみんなに向かって告げた瞬間、緋村剣心は訝しげに私の事を見つめる。

 

「自分の家族だろ、良いのかよ?」

 

「糸色家は元禄に興り、明治まで続く旧家です。代々『先生』の付く職業や立場に就き、その知識や技術を未だに蓄え続けています」

 

「お前の知恵もそれか。でもよ、それとお前の兄貴とどういう関係があるんだ」

 

「姿お兄様は今でこそ探検家や冒険家を自称し、世界各地を放浪しているけど。昔は神童の名を欲しいままにしていた剣術家なんです」

 

「……成る程、糸色殿が五年前に弥彦に描いていた技絵の正確さ、漸く合点が行った。────やはり、あるのでござるな?糸色殿の兄君の修めた剣術の中に、拙者と同じ飛天御剣流が」

 

「はい。そして、姿お兄様の剣は贔屓なしに言っても緋村さんと同等か、それに近いです」

 

私の言葉に唾液を飲む薫さんと、左之助さんは逆刃刀ではなく真剣の飛天御剣流を振るう姿お兄様の事を想像し、冷や汗を流して笑みを浮かべている。

 

「元禄より剣を極めんとするか……」

 

「面白いじゃねえか。景、心配しなくてもオレは負けねえから安心しな!」

 

そう言って私の頭を優しく撫でてくれる左之助さんに、ほうっと安堵の吐息を吐く。しかし、姿お兄様は私の書いていた「黒歴史ノート」を読んでいる。

 

この不安を拭いきれる保証はない。

 

 

 

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