新撰組の方々の眠る碧血碑に手を合わせて、しんみりとした気持ちになりながら、ポヤポヤしてきた眠そうなしとりを抱っこして立ち上がった瞬間、真後ろで鈍い音と金属の衝突する音が聴こえてきた。
突然の音にビックリして、しとりも目元を擦っている。ああ、目元を擦ったら目が痛くなっちゃうから、ゴシゴシするのはだめよ?
そうしとりの手を握りながら後ろに振り返ると五年前に明神君に倒された飛翔の蝙也が着地しているところが見え、西洋鞭剣のウルミの様な武器と鉄球分銅が見える。
「えっ、本条さん?」
「ウフフ、久しぶりね♪︎糸色ちゃん」
「ワイには挨拶なしかい」
「ホウキ…!ぴかぴかぁ!」
「なんや小んまいのが増えて?…ハッ!?」
バババッ!と三人の視線が左之助さんに向かい、斎藤一の「事前にも話しているが、ソイツが童女みたいな女に子供を産ませた変態喧嘩馬鹿だ」と説明した。
「まあまあ、落ち着くでござるよ」
「「お前も似たようなもんだろ」」
「おろぉ……」
まあ、薫さんも私と同じ十代ですからね。そうやって言われるのも仕方ないとは思いますが、私は母として立派にやっているつもりです。
「おねえしゃん!」
「はぁい♪︎そっか、糸色ちゃんも母親かぁ…」
「ん!母ちゃん!!」
ペチペチと本条さんとハイタッチするしとりを抱き上げ、少しでも彼女に近づけ、抱っこしてみます?と聞けば満面の笑みを浮かべて頷く。
「ちっちゃくて可愛いわねぇ~っ。お名前はなんていうのかな?」
「しとり!おねえさんは?」
「私は、本条鎌足よ。……それにしても糸色ちゃんは本当に大変だったわね、斎藤に聞いたけど。五年間も海外を回ってたんでしょ?安心してね、貴女達を貶めた豚は粛清しておいたわ!」
「……斎藤さん?」
「ウソは言っていないが、殺しではなく失脚に加えて汚職の数々をでっち上げ、徹底的に貶めて豚小屋に閉じ込めてはいる」
いや、あの、それはそれで怖いんですけど。
「あの豚まんじゅうか。ウチの実家と景の実家のある信州で悪どい事してたからな」
他愛ない話で盛り上がっていると何だか重苦しい雰囲気になり、みんなの視線が山道に向けられる。そういえば残りの十本刀が二人、そして新撰組のひとりが……何で二人いるのだろうか?
「よう。久しぶりだな、斎藤、緋村」
「お久しぶりです。斎藤隊長」
どこかで見たことがあるような?
「永倉新八…!」
「息災そうだな。鷲塚」
わしづか、鷲塚?
えっ、まさか「月華の剣士」の鷲塚慶一郎なの?と永倉新八と一緒にやって来た斎藤一の様な雰囲気の男を見つめてしまう。