緋村剣心の振るう飛天御剣流の神速に対応する凍座白也に「やはり」と私や左之助さん、斎藤一さえも顔をしかめて姿お兄様の事を見つめる。
露天牢を訪れる前に姿お兄様の事は話している。
剣才は瀬田宗次郎や緋村剣心に迫り、元禄より明治まで続く糸色家に保管し管理している日本剣術の先生を務めていたこともある。
「左之助さん、少しだけ離れます」
「……嗚呼、気を付けろ」
「はい。でも大丈夫です」
そう言って私は堀と柵の間を歩き、姿お兄様の元へと向かう。どうして、そこにいるのか。どうして、剣客兵器の仲間になっているのか。
それを聞くために。
「姿お兄様、何故そちら側に居るのです?」
「何故、か。その問いの答えは四つか五つほどあるけど、一番の理由は景を守るためだよ」
「私を守る?」
「黒歴史ノートは何度か内緒で読む度、僕の中に例えようのない焦燥感と不安が募ったんだ。世界には、こんなにも危険なものがあるのかってね」
それが、私を守ることに繋がる?
「冒険家として世界を巡ったとき、僕は見つけたんだ。白面の者を伝える石碑、真夜中に虐殺を行う機巧人形、そのどれもが景の書き記した通りだった」
「そ、れは……」
「獣の槍は今は使えない。だからこそ僕は凍座白也の誘いに乗って、日本全土を使った護国の礎を作るために剣客兵器の仲間になったんだ」
ゆっくりと立ち上がった姿お兄様は左之助さんより少し低く、けれど私より背丈は最後に会ったときよりも高く大きくなっている。
姿お兄様は私の頭を少し雑に撫でて、なにか懐かしむように微笑んだ瞬間、凄まじい轟音と共に姿お兄様の背後を銀色の大きなものが飛んでいき、そっちに視線を向けると完全に怒った左之助さんが見えた。
つまり、アレは蛮竜だった?
「兄貴だろうが気安く景に触れるなッ!!」
「全く物騒な義弟だ…!」
右の拳を振りかぶる左之助さんに姿お兄様は脇差しを抜き、峰を使って彼のパンチを受け止め、押し当てた瞬間、返しの柄頭で顎を叩かれ、強烈な掌打が左之助さんを吹っ飛ばした。
「左之助さん!」
「……ペッ。大丈夫だ、下がってろ」
「友よ!儂を抜きにして遊ぶでない!」
「遊んでないよ。一発受けてしまった。景、さっきの話は事実だけど。僕の目的は君を守ることなのは本当だよ。まあ、もう大丈夫みたいだけどね」
そう言って顔に痣を作って血を垂らす姿お兄様は溜め息を吐きつつ、脇差しを鞘に納めたそのとき、柵を飛び越えて素早い動きで軍人の間を駆け抜けていく。
姿お兄様の目的は私を守ること。
相手は人間ではなく妖怪や怪物、