某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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武田観柳、再会 序

翌朝、雅桐倫具の隠れ家から帰ってきた左之助さん達は頭を抱えていた。やっぱり武田観柳だと知ったら、そういう反応になるのかしら?

 

「景、質問して良いか?」

 

「……どうぞ」

 

「河童の対処はどうすりゃいい?」

 

「かっぱ?」

 

雨具の事だろうかと考える私に「妖怪や物の怪の方の河童なんだけどよ、雅桐倫具……武田観柳に胡瓜の山で雇われてやがったんだ」と謎の言葉を話す。

 

かっぱ、河太郎の方の河童ですね。

 

「それが本当なら相撲はダメですよ、負けたら尻子玉を抜かれちゃいますからね」

 

しかし、河童ですか。

 

ドクトル・バタフライ関連の仕業なのは間違いないですけど。……私の知る限り、原作者様の話に河童は出てこなかったはず、いや、これは私のせい?

 

「うしおととら」や「からくりサーカス」も『統一された世界』に組み込まれていると姿お兄様の話で把握しているし、ひょっとしたら彼かも知れない。

 

「左之助さん、私も会いたいです」

 

「……百面相の訳は後で聞くからな」

 

「百面相?」

 

左之助さんの言葉に首を傾げつつ、ペタペタと自分の顔を触ってみるものの。とくに変わったところはなく、余計に困惑してしまう。

 

しかし、それはそれとして河童です!

 

しとりを左之助さんに預けて立ち上がろうとした瞬間、視界がボヤけ、身体がふらつき、胸に鈍い痛みと身体の重さに呼吸が荒くなる。

 

「…ッんぐ…ゲホッ、ゴホッ…!?ケフッ…!…」

 

「景!?おい、大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫です、少し目眩がしただけで…」

 

「母ちゃん、いたいの?」

 

「……ッ、ふふ、平気ですよぉ?」

 

ゆっくりとしとりの事を抱き上げる。

 

「ん、ギューッ!!」

 

「フフ、ぎゅうっ」

 

私を抱き締めるしとりのポカポカした温かさに、ほうっと身体が軽くなる。北海道は寒いから、少し身体が弱くなっちゃったのかな。

 

「……景、医者に行かねえか?」

 

「平気ですよ、心配しすぎです。それにお医者様のところに行ったら私を狙う人達が押し寄せてくるかもしれませんから」

 

私を真剣に見つめる左之助さんに抱きついて、ポンポンと彼の腰の当たりを優しく叩いてあげる。ほら、しとりも不安になっちゃいますからね。

 

「それよりも河童です、会うのは初めてですから何かお土産を持っていくべきでしょうか?」

 

「いや、胡瓜は多かったからな」

 

不安げに私を見下ろす左之助さんに申し訳無さを抱きながらも「ほら、元気ですよ!」と力瘤を作ってみせる。しとりも同じように、フンスと柔らかな腕に力瘤を作る真似をしてくれる。

 

大丈夫ですよ。

 

私は大丈夫ですから。

 

 

 

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