某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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不敗神話 序

「荷物を運び込んでいるな」

 

「やっぱり勝納川にありましたね」

 

「オレは姉ちゃん達連れて暴れるだけか?」

 

藪の中に隠れて話す三人と離れた場所に、はしゃぎ過ぎて眠ってしまったしとりに私の身に付けていた半纏と更に褞袍を敷いた地面に降ろして寒くないように帯紐を締め、しっかりと見えないように藪で隠す。

 

かなり寒いけど。

 

神酒の謎パワーを得ている私なら大丈夫だと自分に言い聞かせ、両腕の袖を襷で縛って逃げるために準備を終える。まあ、体力の無い私に出来ることなんて注意を引き付けることだけですが。

 

「では、手筈通りに」

 

「手筈も何も無いだろ。アホ共が」

 

「きゃッッッ……?!?!!?」

 

「「「静かに…!」」」

 

私の真後ろから聞こえる声にビックリして叫びそうになった次の瞬間、私の口に六本の手が重なり、武田観柳と井上君と長谷川君の焦った顔が間近に見える。

 

チラリと皆で後ろを見ればススハムと一緒にいた軍服の青年が半袖の胴着に着替え、紺色の括り袴を履いて私達の視線に合わせるように座っていた。

 

「ボウズ、オレとお前で暴れるぞ」

 

「……待てよ。アンタ、強いのかよ」

 

「少なくとも不破だって数百年不敗だよ」

 

そう言いながら楽しそうに敵陣へと飛び出していく彼の背中を私は見つめてしまった。数日前に陸奥出海に会ったとき、まさかとは思っていたけど。

 

本当に、そうなの?

 

「オオオォオオオォォオッ!!!!」

 

烈帛の気迫と共に突き刺すような痛みを感じる冷たさを持つ河川を駆け抜け、飛び蹴りを放った彼は身体を捻り、同時に三人の黒頭巾を制圧した。

 

「……圓明流、旋……」

 

「面倒臭いけど、殺さずに蹴ってやるよ!」

 

数日間、私達と接していた彼とは似ても似つかない強さに唖然とする私と武田観柳の肩を叩き、井上君が流れ橋を指差す。忘れていたけど。

 

この人達と敵陣に乗り込む事になっていた。

 

「あの人って何者なんですか」

 

「知りませんよ。ですが、あの強さは金になりそうですね、あとで交渉する余地はあります」

 

「……んしょ、んんっ…!」

 

「レディに無理強いしてしまったのは承知してますが、流石に予想外のところで躓きますね」

 

武田観柳と井上君はスマートに潜り込んだ天幕の布にお尻が引っ掛かり、恥ずかしさを感じながらも二人に引き込んで貰い、木箱の置かれた天幕内を次々と物色し始める二人の近く。

 

一際、大きな木箱に視線を向ける。

 

「有りましたよ。ほら、糸色さんも」

 

「わっ、え?……え!?」

 

ライフルを投げ渡された事に驚きつつ、武田観柳を見れば井上君に構え方を教えている。わ、私が、こういうものを昔に図案したからって使い方を知っているわけじゃないんですけど。

 

 

 




【概要用語解説】

本作の単語や転生者に関する事を解説します。

【不破信二】

本名「不破信二」。
年齢は二十代後半。身長176cm。
「修羅の門」および「修羅の刻」に登場する陸奥一族の分家筋たる不破一族の人間として生誕した転生者。陸奥と同じく無手にて最強を目指し、日本各地を巡って強敵と死闘を繰り広げる生活を送っていたところ、「ドクトル・バタフライ」と出会った。

「陸奥出海」と「坂本龍馬」の激闘の日と同時期、彼も同じく「岡田以蔵」と戦い、彼と遊び歩き、時には共闘する等の交流を続けていた。が、彼の死後は退屈な日々を誤魔化すため、ドクトルの依頼で日本に蔓延る怪物(ホムンクルス)退治をやっていた。


転生する際に選んだ「特典」は「何でも良いから優れた能力が欲しい」と「大切なものが欲しい」。


一つ目の特典「何でも良いから優れた能力欲しい」は転生した際に最も秀でた才能を永続的に高めることが出来るもの。しかし、彼の才能は余りにも「殺し」に特化し、常に制限しなければ人と触れ合うことすら出来ないものだった。

二つ目の特典「大切なものが欲しい」の最初に選ばれたのは「岡田以蔵」であり、彼との友情の日々は最高のものだったが、不破信二の意識が別のものに移れば今までの加算されていた幸福も別に移り、彼は関わる全てを「大切にしなければいけない」祝福(のろい)を纏う。

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