「……騒がしいな」
「ストップ。動けば撃ちますよ!」
ゆっくりとライフルを構えて黒頭巾の男、剣客兵器のひとりに銃口を三人で突きつける。──けど、思った以上にライフルが重い。
人を殺せる重みが、怖い。
「私の要求は二つ。雅桐倫具の潔白証明、そして雅桐紋の使用を即刻停止し、賠償金を支払って貰うことです!如何に優れた剣客であろうと三つの同時に小銃の狙撃を躱す事は不可能でしょう!」
「賠償金。ふむ、これでどうかね?」
分厚い本を開いて頁を投げ放つ。
でも、これは原作とは違う…!?
「武田さん!」
「ふぬぉあっ!?」
その紙は武田観柳の腕ではなく首に飛び、慌てて彼の身体を押し倒し、スッパリ……と切り裂かれる天幕の布地に恐怖を感じ、武田観柳と井上君も何が起こったのかと切り裂かれた天幕の布地を見つめている。
「……眼鏡の女、お前が糸色景か!」
「盾に隠れてくださッ……!?」
置き盾を指差し、二人に叫ぶ。私も行こうとした瞬間、背中に熱い痛みを感じながら地面に転がり、火傷したように、熱い、熱い、ジュクジュクとした熱が身体に広がり、脂汗が額を流れる。
さっき、彼を助けるときに当たったんだ。
「傷は浅いですよ、糸色さん!」
「観柳さん!景さん!こっちへ!」
「でかしましたよ、My弟子!」
置き盾を抱えた井上君と私を抱き上げ、走る武田観柳に「すみません。失敗しちゃいました」と謝りつつ、背中を伝う、地面に斑なシミを作る私の赤い血を痛みで霞んでいく視界に収める。
ああ、これは助からないかも知れない。
「…ぅん…これで、おわ……かあ…」
「勝手に終わるなど許しませんよ!貴女は私の秘書として、五年前には達成できなかった日本全国、世界各国に交易を広げ、私の栄華激進を手伝って貰うのです!阿爛ッ、貴方も探しなさい!!」
「チッ。姿には悪いが手負いじゃ助けるのも金が掛かる。ここで死んでおけ」
天幕の出入り口で置き盾を構えた井上君に命令しながら私の背中を押さえる武田観柳。……やっぱり、五年前の時より優しくなっていますね。
木箱を手当たり次第に開けていたそのとき、銃火器に紛れて小さな手のひらサイズの金属が転がる。なんで、ここに?でも、これがあるなら……。
ゆっくりと金属を、
核鉄を拾うために手を伸ば……あっ、届かない。
「ショッ!!」
「くうっ!?」
「弟子ィーーーッ!!!?!?」
しかし、それよりも早く剣客兵器の振るうペンと紙が置き盾を、井上君と武田観柳、私を狙った紙が飛び込んできた刹那、紙が逆に裂かれる。
「女子供相手に粋がるカスが、殺す」
「不破、さ、ん…」
「相楽の姉ちゃん、死ぬなよ。武田、阿爛、その鉄塊を背中に当ててやれ、傷を治す分には使える適度のモンだからよ」
「……不破、猛者人別帳に名を載せた戦国より続く無手不敗の一族ですか。伝説の陸奥の分家と言うには、粗暴で粗悪、野蛮すぎるほどに貴方は、不破信二の項目は強敵を求めすぎている!」
「強いヤツと戦いてえのは当然だろ。こちとら八百年不敗と戦うために生まれ、その身に化け物みたいな
その言葉を皮切りに不破信二が動く。
私は武田観柳が拾ってくれた核鉄のおかげで多少の痛みは引き始め、ゆっくりと乱れていた呼吸も少しずつではあるけど、普段のものに戻り始めている。