「ショ!ショ!ショオォーーーッ!!」
「鬱陶しい攻撃ばっかりだな」
「オッサン、どけえぇ!?」
素早く頁を切り飛ばす剣客兵器の攻撃を受けず、紙の側ではなく面を叩いて落とす不破信二に私達は視線を向けていたそのとき、長谷川君が原作には居なかった熊の妖怪を連れて来るのが見えた。
「人間の肉を喰わせろぉ!!」
「おいおい、化け物かよ」
「うるさい声で騒ぐな!」
呆れる不破信二と更に加わった騒音の原因に怒りを露にした剣客兵器はもう一冊の分厚い本を取り出し、妖怪へと頁を切り飛ばしていく。
熊の妖怪。さっき山小屋で河童と戦っていたヤツの仲間でしょうか?と軽くなってきた身体を起こし、核鉄を着物の内側に仕舞い、武田観柳に大きな木箱を指差して、アレを使うように伝える。
「……これは!」
「成る程、これなら倒せるかも!」
武田観柳と井上君の言葉が聴こえ、ガラガラと車輪を動かして走っていく音を聴きつつ、私は汚れも傷のない木箱に倒れ込み、浅い息を吐いて外を見つめる。
けたたましく機関砲の重厚な発砲音と「ガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガト」と歓喜の叫びを上げる武田観柳の声に前世の数頁を思い出して苦笑し、クスクスと騒がしくて楽しそうな声に笑ってしまう。
「…はあ……はぁっ…」
血が止まらない。
このまま死んじゃうのかな。
そんな不安と恐怖に包まれながら寒くて寂しい気持ちを抱いて天幕の外で暴れる不破信二と長谷川君、武田観柳に井上君の四人の攻撃に剣客兵器と熊の妖怪はだんだんと退き、攻撃よりも防御に意識を向けている。
「観柳、なんでござるかこれはあぁ!!?」
「ひ、緋村抜刀斎!?」
「緋村さん!?ちょっと止まって!?」
「またその様な物を使って……!」
ようやく追いついてきた緋村剣心の声が聴こえる。
意識はまだ残っているのに、大きな声を出して彼を呼ぶことが出来ない。鈍い音と共に天幕の中に武田観柳が現れ、ピクピクと震えている。
多分、緋村剣心に逆刃刀で弁明を聞くよりも先に殴られたんでしょうけど。彼がガトリングを使ったのは、私が指示したからで……ああ、意識が遠退く。
「緋村さん、アレは妖怪退治に使っただけで」
「……拙者の早とちりでござるか?」
「そうなるな。まあ、オレは邪魔されずに戦えたから問題はなかったけど。あとで謝っとけよ?」
「……起きたら謝るでござる……」
緋村剣心の弱々しい声と彼に謝るように伝えるみんなの声を聴きつつ、ほうっと安堵の息をこぼす。これで、やっと左之助さんに会える……。