無事に函館に帰ってきた私達を出迎えてくれた薫さんに連れられて、田本先生の紹介してくれたという北海道滞在中の新居へと向かう。
此方でも薫さん達とはお隣さんです。
しかし、どう見ても現代風の家屋なのが気になる。ススハムや不破信二の他にも生まれ変わった人はいるのかと考えつつ、薫さん達の新居に入り、やはり現代風の玄関や家具の配置に納得する。
特に台所なんてガスコンロや冷蔵庫を配置する場所まで完備された造り。この建築家は転生者だということを隠すつもりはないのだろうか。
「あら、お帰りなさい」
「鎌足殿、張もいるでござるか」
「僕も居ますよ、緋村さん」
「和尚もいるのか!」
「嗚呼、何かと我らは目立つからな」
十本刀の皆さんもいる。
まだ他にも居たと思うけど、部屋の中にいないということは外に出ているだろうか?と考え込みながら、私は本条さん達に「どうぞ、お土産です」と人数分の差ニシンの漬け物をし出す。
「……顔色悪いわよ?」
「せやな。風邪引いとるんか?」
「いえ、そういうわけじゃ…」
「近寄りすぎや」
ずいずいっと私に近付く本条さんの襟首を掴んで止めてくれた沢下条さんにお礼を言いつつ、しとりと一緒に悠久山和尚にもニシンの漬け物を手渡す。
「忝ないな。景殿」
「いえ、これはウチの主人と仲良くして頂いているお礼も兼ねてのお土産ですから」
「じゃあ、私のは友達からのお土産だあ!」
「ワイは何になるんや、それやと?」
「喧嘩友達じゃないの?」
そんな本条さんと沢下条さんのやり取りを聞いていた左之助さんは「お前はアレだ。一人だけ無かったら可哀想だから買っといただけだ」と言った。
左之助さんも素直じゃないですね。
「一回シバいたろかコラ?」
「殺るかホウキ頭が」
「やーねえ野蛮な男って」
クスクスと笑って二人の口喧嘩を煽る本条さんを真似して、しとりも「やぁねー!」と呟きながら剣路君の隣に座り、お饅頭を一緒に食べている。
「景さん、ちょっと良い?」
「はい、なんです…か?…」
くるりと後ろに振り返って薫さんの声に応えたとき、彼女の頭が私のお腹に当たる。何をしているのでしょうか?と問うよりも早く「血色の悪さは此方じゃないわね」と呟き、ペタペタと私の身体を触り始める。
「嬢ちゃん、景がどうかしたのか?」
「薫殿、何故その様なことを?」
「二人が景さんを心配するから何かあったと思うのは当たり前じゃない。ほら、景さんって気が付いたら大変な事に巻き込まれてるから」
「「「「「「それは、分かる」」」」」」
薫さんの言葉に皆が同時に頷いた。