某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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一週間の休み 破

左之助さんとしとりと一緒に函館の市内を巡りつつ、砂金独り占め作戦を決行しようとする久保田さんを引き留めて手袋や笊、篩を用意して熊避けの鈴、乾燥させた果実や干し肉などを渡してあげる。

 

山の中はかなり寒いからもっと厚着して簡易的に火を起こせるマッチやライターは必要なのに「それは臭いからイヤよ」と彼女は受け取ってくれなかった。 

 

「斎藤達が帰ってくるまで一週間か」

 

「やっぱり気になりますか?」

 

「……いや、アイツが負けるとは思えねえけど。剣客兵器の強さは向こうで戦った奴らと互角だ。かなり強いのは戦って分かった」

 

そう言って言葉を区切る左之助さんはわざとらしく話題を切り替えるように「阿爛と明日郞は仕事に行ってるし。少し顔出しとくか」と呟き、一緒に歩いていたしとりを肩車して笑う。

 

多分、私のために話題を変えたんですよね。

 

ふと金色と銀色の蝶が目の前を横切り、まさかと思って西洋風建築物の二階のテラスを見上げると、ティーカップを片手に優雅にティータイムを楽しんでいるドクトル・バタフライがそこにいた。

 

「また、蝶野のオッサンか。今度はどんな厄介事を持ってきたんだ。景は怪我してるから無茶な頼みは他を当たってくれよ」

 

『左之助君、その質問はNOだ。今回、厄介事を運んだのは私ではなく、そこにいる糸色景だよ。全く未来の世界に混沌渦巻くBad Stageを用意するつもりかね?』

 

「景、あとで話がある」

 

「け、怪我人です!やめましょう、ね?」

 

私の言葉に「もう治っただろう」と言われてしまえば反論することは出来ず、ドクトル・バタフライを恨めしげに見上げれば穏やかな笑顔で、ピコピコと親指を動かし煽ってきた。

 

な、なんで、それも知ってるんですか!?

 

そう問い掛けるよりも早くテラスを飛び降りたドクトル・バタフライはスマートに着地し、にこりとしとりに微笑んでクッキーを手渡してくれた。

 

「左之助君、暫し彼女に聞きたいことがある」

 

「……景も聞かれたくない話か?」

 

「いや、私の聞かれたくない話だ。糸色景にとっては些細な事だろう。───が、私の趣味を妨げる可能性を孕んだ可能性は潰したいのだよ」

 

「其処の甘味処に居る。景も終わったら来てくれ」

 

「はい。分かりました」

 

少し不満そうにしながらも左之助さんはしとりを連れて甘味処に入り、しとりにメニューを選ばせてあげているのが見える。

 

「さて私が聞きたいのは新しく拡張の兆しを感じたからだ。すでに気付いていると思うが、君が望みさえすれば世界は無限に拡がり続ける」

 

「私が絵を描いたらじゃないんですか?」

 

「概ねそうだが、正確には違うのだよ。糸色景はその世界を生み出す核は自由に作ることは出来るけれど。あくまで核だけ、世界を拡げるには他者の認知や理解を得る必要性もある。おそらく君は左之助君に原稿を見せたのだろう」

 

「は、はい、見せました」

 

「ひとりが認知したことになる。もしも世界を拡げるときはより多くの人間の認知を得る必要があるのだ。ここのメイン世界は『和月世界』として、更に『修羅の門』と『月華の剣士』も加わり、戦国時代に生まれた彼の影響で『犬夜叉』は世界の根底の一部になった」

 

ドクトル・バタフライは息を整える。

 

「そして、君の描く『うしおととら』を始めとした『藤田世界』の出来事は世界に深く刻まれ、この世界の歴史として一部書き替わっている」

 

成る程、分かりやすく言えば「A世界」に「B世界」が混ざり、更に其処に「C世界」も混ざり合った結果、新しく「D世界」に生まれ変わったということですね。

 

「まあ、今回は未然に防げたものの。下手をすれば『侵略者』はこの時代に流れ込んでいた可能性もあることを覚えておきたまえよ」

 

「はい、すみませんでした」

 

「まあ、未来に生まれる彼らに任せるのも一興だが、やはり自分の楽しめる世界を土足で踏み荒らされるのは紳士(ジェントルマン)として止めるべきなのだよ」

 

そう言うとドクトル・バタフライはチャフの羽を生やし、空高く飛び上がってしまった。

 

 

 

 

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