某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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札幌の壬生狼 急

「おー!」

 

「あ、危ないから落ち着いて、ね?お母さん前が見えなくなっちゃうから…!」

 

キラキラした目で阿部十郎のお髭を見上げ、永倉新八のお髭にもキラキラした表情を向け、ペタペタと彼らの頬っぺたを触りまくるしとりを抱っこしているものの力も弱いからフラフラしてしまう。

 

「ハッハッハッ、阿部の髭よりおじさんの髭の方がじょりじょりしているぞぉ?」

 

「じょりじょりーっ!!」

 

「……斎藤、鷲塚、何とかしろ」

 

「俺に振るな」

 

「私も髭は剃っている」

 

彼らの会話は要人警護からお髭の話に変わっている。左之助さんがいたらお髭を生やそうかと悩むかも知れないけど。どんな左之助さんも素敵です。

 

阿部十郎の少し困った顔に気付いていない。

 

よく分かっていないしとりは彼の整えられたお髭に手を伸ばして、じょりじょりと撫でて、とっても楽しそうに笑っている。

 

「相楽殿、先程の話に戻るが狙うとすれば今後は何処を狙うのか分かりますか」

 

「役人は襲われないと思っているので夜間に遊び回っているという話を聞きましたから確かなことは言えませんけど。そろそろ真っ直ぐに札幌の顔役を獲りに来ると私は思います」

 

「じゃあ、今夜が正念場か」

 

「阿呆が。多少は虚実を使い分けるよう言っていただろう、何を本当の事を素直に話している。いつ、どこに、何があるのかも分からんのだぞ」

 

頭を抱える斎藤一に、しょんぼりとする。

 

五年も経ったのに私は上手く人を騙せるようなウソも言えない様です。まあ、ウソを吐くのは悪いことですから余り好きじゃないので良いですけど。

 

しとりが私のウソを吐くところを真似するくらいなら虚実を使い分ける事は諦める。そもそも私がウソを吐く理由はありませんよね。

 

「相楽、新撰組に加担する理由はなんだ」

 

「(加担っていうほど親しいかな?)……そう、ですね。ただ単純に主人の友人だからでしょうか。私だけだったら絶対に怖がって話し掛けませんから」 

 

「ん!しとりがまもる!」

 

「フフ、ありがとうね」

 

しとりの優しさに笑顔を浮かべて、彼女の頭を撫でてあげる。まだまだ時間は掛かるけど、しとりもお姉さんになろうと頑張っている。

 

私もお母さんとして頑張らなくちゃ…!

 

「しかし、お嬢ちゃん達を連れてきた意味が気になるな」

 

「おそらくコイツに関わるヤツ、あの糸色姿が小樽ではなく札幌に現れる可能性があると考えてのことなんだろうが、女子供を危険に晒すな」

 

「お前がそれを言うのか、斎藤」

 

「何か文句でもあるのか、阿部」

 

じろりとお互いを睨み付ける斎藤一と阿部十郎の二人の視線の圧力から逃げるように永倉新八と鷲塚慶一郎、三島君の後ろに隠れる。

 

 

 

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