某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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才媛は反省中 序

「病気の治療のために連れていかれたのは分かった。だけどな、電信で送るにしたって言葉を略しすぎだ。しとりも一緒に連れていくなら事前に言ってくれ……じゃねえと本気で閉じ込めなきゃいけなくなる」

 

「わ、分かりました。すみません」

 

真剣な眼差しで私を叱ってくれる左之助さんの言葉を素直に聞く。この前より彼の話し声も良く聞こえる上、勝手に記憶を掘り起こすなんていう「特典」の正常な動きは起こっていない。

 

左之助さんだけに集中できる。

 

スヤスヤと眠るしとりに視線を向けても余計な記憶を呼び起こす事はない。ドクトル・バタフライのおかげで、久しぶりに何の負荷を感じずに人が見える。

 

「とりあえず、剣心達に無事だった事を伝える手紙は送りに行くけど。景はしとりと一緒に安静にしてろよ、まだ頭の包帯もあるからな」

 

「いや、これは、はい」

 

ドクトル・バタフライの私が手術したというスタンスを教えるために巻いているだけの飾りなんですけど。その事を言ってしまったら、また大変な事になりそうなので黙っている事にした。

 

「斎藤、見張っててくれ」

 

「阿呆が。部屋の鍵を閉めれば良いだろう」

 

「そりゃあそうか」

 

そのまま部屋を出るなり鍵を閉める斎藤一と左之助さんを見送りつつ、私の眠っていた洋式寝台で一定のリズムで寝息をこぼすしとりの蹴った布団を掛けてあげ、口許の涎をハンカチーフで拭きとる。

 

しとりの寝顔はかわいい。

 

いつも色々なものに興味を示して、キラキラと目を太陽みたいに輝かせている彼女の笑顔は何よりも素敵で、私の書いた絵巻を読める歳になったら、どんな反応をしてくれるかな?

 

「貴女とこの子が大人になるまで絶対に生きるから、貴女も産まれてくる君も健やかに長く生きて一杯楽しくて幸せな人生を送ってほしい」

 

「…ん…くぁ……」

 

「……フフ、かわいい……」

 

アヒルみたいな声を上げるしとりの前髪を払い、私に似なくて良かったサラサラした艶やかな黒髪を撫で触り、彼の様な強い身体になってくれることを願う。

 

ふと扉の向こう側に人影が見える。

 

「左之助さん、走って来たんですか?」

 

そう人影に問い掛けるも一言も返事は無く、直ぐに人影は消えてしまった。誰か来ていたのかな?と首を傾げつつ、しとりに視線を戻したら両目を見開いて、ジッと扉を見つめる彼女が其処にいた。

 

「しとり?」

 

「……ん?ん!きえた!」

 

「さっきの人がどうかしたの?」

 

「ん、んー、あそぼって言ってた!」

 

黒い人影が遊ぼう?

 

私には何も聞こえなかったけど。 

 

しとりには聞こえていたということは何かあるのかしら?と思いつつ、しとりを少しだけ強く抱き締める。次から次へと私に分からないことばかり、続け様に起こるのは止めて欲しいわ。

 

 

 

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