某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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三度目の函館 序

今度こそ平和に休めます。

 

そう安堵する私の太股に頭を乗せて眠っているしとりに少しだけ羨ましそうにする左之助さんの顔にクスクスと笑いながら彼の肩にもたれ掛かる。

 

「盛るなら部屋にしておけ、ここは車内だ」

 

「家族団欒だ。邪魔すんな」

 

斎藤一の声で三人だけじゃなかったことを思い出し、気恥ずかしさを感じる私に今度は左之助さんが寄り掛かって、フンスと自慢気に斎藤一を見つめる。

 

私としとりを自慢しているのだろうかと首を傾げていると、斎藤一が警官隊の制服の内側に手を差し込み、懐中時計を取り出すと蓋を開けた瞬間、そこに時尾さんの写真が入っていた。

 

「クッ、やるな斎藤…!」

 

「阿呆が。年季が違うんだよ」

 

この二人は一体何と戦っているんだろう?と疑問を抱くけど。それよりも彼が自分の懐中時計に奥さんの写真を仕舞っている事にドキドキしてしまう。

 

愛妻家の逸話って事実だったんですね。

 

「……糸色、その顔は何だ?」

 

「いえ、夫婦円満の秘訣を聞けたらと」

 

「お前達は円満だろう」

 

「そ、そうですけど。もっと仲良くなる方法をご伝授してもらえたり出来ませんか?」

 

私の言葉に怪訝な表情を浮かべる斎藤一と照れ臭そうに鼻の頭を掻く左之助さんは「もっと仲良くなるって、もう子供もいるんだけどな」と呟く。

 

それはそれ、これはこれです!

 

「相楽、どうにかしろ」

 

「景は意外と頑固だから諦めろよ」

 

「チッ。何が聞きたいんだ」

 

「やっぱり、夫婦でも逢瀬の回数は多い方が良いんでしょうか?家族で一緒にお散歩したり、お買い物に行ったりすることは多いのですが」

 

「逢瀬の回数も大事だが相手を尊重し合える関係を築くことも大事だろうな。ウチの家内を真似しろとは言わないが、お前は相楽に寄り掛かりすぎている。少しは一人で前を向いてみろ」

 

その言葉は真実である。

 

確かに私は左之助さんに負担を掛けてばかりで、彼の弱音や弱った時を癒やせているかと聞かれれば素直に出来ていると答えることは出来ない。

 

「まあ、それは今更だがな。相楽も甘やかすだけが愛情ではない。時には叱り付ける事も覚えておけ、下手に相手に依存してしまえば容易に崩れるぞ」

 

「おう。分かった」

 

「はい、分かりました」

 

「よし、夫婦円満講座は終わりだ。そろそろ函館に到着する、剣客兵器の策略も作戦も捕まえた捕虜に吐かせ終わっている」

 

私の頭の中にある記憶と違うけど。ここは現実なのだから道筋を少し逸れてしまうことは仕方ないことだと割り切りつつ、左之助さんに視線を向ける。

 

「頑張って下さいね」

 

「任せろ。さっさと終わらせてやるさ」

 

そう言うと左之助さんは笑みを浮かべる。

 

 

 

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