五稜郭にて緋村剣心と左之助さん達は凍座白也に最後の尋問を行うらしく、今回は私も薫さん達とお留守番になるものの。やはり不安を抱いてしまう。
札幌以降に起こる展開を知らないというのもあるけれど。あの凍座白也がそう簡単に剣客兵器の敗北を認めて、捕虜になることを受け入れるとは思えない。
なにより猛者人別帳の事もあります。
全国各地に散らばった剣客兵器もいると想定して考えると東京に在住する明神君と塚山君のところに剣客兵器が行っているかも知らない。
塚山君の先生を務めていた真古流の創設者にして緋村剣心に天才と認められた剣術家・石動雷十太さえも猛者人別帳に載っている。
そして、姿お兄様の行方も気になる。
「景さん、おにぎり作りましょうか」
「……そうですね。みんな帰ってくるときは皆もお腹を空かせているでしょうし。しとりも剣路君も一緒にお結びを作りましょう」
「おにぎり!」
「おむすび!」
袖の中に仕舞っている襷を使って袖を結び上げ、しとりの袖も同じように結んであげる。剣路君にも薫さんが同じように結び、四人と個魔の一人と一緒に台所に向かっていく。
「氷室の中のお魚を焼きますね」
「じゃあ、私は漬け物を切るわ」
七輪を取り出して、中庭に向かう私の方に着いてきたしとりに団扇を渡して七輪の中に入れた炭にマッチを落として、パタパタと一緒に扇ぐ。
「……ん!こまも!」
「私もですかい?」
「三人でやるなら七輪を三つにしますね」
台所か三つ目の七輪を持ってきて、個魔の前に置いて団扇を差し出すと「嬢ちゃんは本当にそっくりだね。此処まで妖怪に怯えないヤツは早々いないよ」なんて呟きつつ、縁側に座って団扇を扇ぎ始める。
左之助さんはお結びは何でも好きみたいだけど。しとりが握ったものなら、もっと喜んでくれるんじゃないでしょうか。あんなに子供を愛する人と夫婦になれて、私は本当に幸せ者ですね。
「景さん、漬け物はおにぎりに入れる?」
「そうですね。塩味は必要になりますし、フキノトウを浅漬けしたものを戸棚に仕舞っているので、そちらも使っていいですよ」
「はーい。剣路はこうやって漬け物の水切りを手伝ってくれる?」
「やる!」
向こうも順調に進んでいるようで安心できる。そう思っていると、七輪の中の炭がチリチリと赤みを帯びて、温かさと熱を生み始める。
「金網を用意します。七輪の上部に乗せて、その上に内臓を事前に取り除いていたニシンを置き、焦げないように待つ間にお米を磨ぎに行きます」
「私は焦げないように見ているよ」
「しとりもみてる!」
「じゃあ、お願いするわね」
薫さん達の隣に移動し、全員が食べても余る量のお米を米櫃から升を使ってお釜の中に移していき、蛇口を捻って水をお釜の中に入れる。
流石は未来を行く洋式借家、簡単に洗い物も出来る造りは前世の頃と遜色無いわね。