某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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左之助さん視点になります。


剣客兵器、決戦 急

「白也、僕は義弟と戦うけど。他の人が来るまで彼らの相手は任せるよ」

 

「ウム。承知した!」

 

露天牢を囲う水面を軽く蹴り、そのまま飛び上がってきた糸色姿の事を見上げ、ゆっくりと目の前に着地した景の兄貴を見つめる。

 

糸色姿は緩やかに両手を下げ、二刀流の構えを見せずに立つ。間合いに踏み込める瞬間が分からないなんざ剣心や蒼紫、斎藤と戦ったとき以来だ。

 

「先ずは小手調べだ。先日より速く行くぜ?」

 

その言葉を紡ぎ終えると同時に糸色姿が視界から消え、微かに聴こえた風切り音に任せて蛮竜の刀身を地面に突き当てた刹那、鎬を削り落とす神速の斬撃で火花が散り、蛮竜の刀身が軋み、蛮竜が悲鳴を上げる。

 

ギイィィィンッ!!

 

「龍巻閃を見えるか」

 

「見えてねえよ、山勘に頼っただけだ」

 

「なら、更に速度を上げよう」

 

トンッ…!と地面を蹴る音が聴こえた瞬間、兵舎の壁や露天牢の塀を蹴り、不規則な足捌きでわざと視界に写り込んで見えるように動き、オレの死角に回り込んでいく糸色姿の動きを追う。

 

────刹那、糸色姿の音が消えた。

 

「今度は龍槌閃かっ!!」

 

「緋村抜刀斎の動きで予測したのか。やるね!」

 

蛮竜を担ぎ上げ、刀身を振り上げると同時に大小一対の刀を十字に組んでオレの斬撃を受け止め、止まった蛮竜の穂先を蹴って更に高く飛び上がる。

 

また龍槌閃かと大鉾を振りかぶるように構えた瞬間、背筋に嫌な悪寒が駆け抜け、その場を飛び退くとほぼ同時にオレの立っていた場所が粉微塵に切り裂ける。

 

「テメェ、今のは飛天御剣流じゃねえだろ!?」

 

「否、この技も飛天御剣流さ」

 

そう言うとヤツは大刀を水平に突き付けるように構え、穏やかに笑いながら、そのまま横薙ぎに軽く刀を振るうと兵舎の屋根が粉々に切り裂かれる。

 

「もう失伝していたこの秘刃を使えるのは僕だけしかいないけど。この秘刃こそ戦国の世を生きた比古清十郎の振るったという飛天御剣流の『奥義』天翔龍閃と序列を同じとした神速の斬撃術───飛天無限斬だ」

 

「飛天、無限斬…」

 

剣心の使う九頭龍閃の様な九つ同時に放つ斬撃なんてものじゃねえ、オレが五年前に受けた龍巣閃を極限まで高めて極め続けた人を切り刻むために作り出された飛天御剣流の失われた『奥義』だ。

 

「散りゆく億万の花弁を全て躱す事は不可能だ」

 

「散る花は躱すんじゃねえ、見るもんだ」

 

「風情を気にするのかい?まあ、僕の秘刃を受けきることも出来ない男に大事な妹と姪を任せる事は到底許容出来るものじゃない。この際、無限に等しく天を舞い翔ける龍の鱗で君を削ぎ殺すとしよう」

 

「上等だ、掛かってきなッ!」

 

オレを煽る糸色姿に応えるように吠え、蛮竜の刀身に巻き起こる暴風を振るって兵舎を粉々に砕き、ヤツを地面に下ろして蛮竜を担ぎ上げる。

 

 

 

 

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