凍座白也をはじめとした剣客兵器を撃退し、誰も欠けることなく無事に帰ってきた皆に安堵の息をこぼす私に左之助さんは「なあ、お前の兄貴って本当は姉貴なのか?」とナゾナゾみたいなことを言ってきた。
きっと怪我のせいでしょう。
そう思って左之助さん達の介護とお世話を五日ほど薫さんと続け、少しずつ回復してきた彼の言葉は変わることなく姿お兄様はお姉様なのかという台詞だった。
「……姿お兄様は男の人です。確かに見た目こそ華奢で左之助さんに比べると小柄ですが、れっきとした男の人なんですよ?」
「分かってるけどよ。なんか背が縮んで景にそっくりな見た目になってたんだぜ?」
左之助さんがウソを言っていないのは分かりますけど。いきなり性別の変わるなんていう現象は漫画やアニメなど創作物の中でしか起こり得ないものです。
…………いえ、よく考えてみれば「犬夜叉」の世界と繋がっているなら必然的に「らんま1/2」や「めぞん一刻」等々の物語と世界観を共有している事になりますね。
そうなると中国の秘境に数多く存在する呪われた泉のひとつ「
「左之助さん、姿お兄様の髪色は覚えてますか?」
「…………少し黒に赤みがかってたか?」
これは、確定してしまった。
姿お兄様は「すがた1/2」になっている。どうしましょう、大切な家族の緊急事態だというのに、私は女の子になってしまう姿お兄様を描きたいです。
「なあ、何か分かったのか?」
「左之助さんは黒豚さんでしょうか。いえ、やはりパンダさんになっているところも見てみたい気持ちになりますね。でもしとりもお父さんがパンダなのは…」
「おーい?聞こえねえか?」
「え?あっ、す、すみません!」
「いや、良いんだけどよ。オレが豚になるとかパンダになるとか知ってるなら教えてくれ」
そう言って左之助さんは真剣な眼差しで私を見つめる。そんな彼の視線に渋々と私は中国の秘境に群生する呪われた泉「呪泉境」の事を教える。
「蛮竜もそうだが中国は混沌極まってるな」
「まあ、そうですねえ」
今は白面の者はもう日本海の底にいますけど。
やはり向こう側の妖怪も日本に渡ってきていると考えてしまうと少し不安になります。───けれど、左之助さんがいるから大丈夫です。
「……しかし、次に会うときはオレはアイツをどっちで呼べば良いんだ?兄貴か?姉貴か?」
「それは姿お兄様の反応次第ですね」
左之助さんの悩みに苦笑しながら応える。
私の中ではずっと姿お兄様です。