左之助さんと帰ってきた武藤君と津村さんに向けられる視線の強さに違和感を感じ、二人の所属先の事を今更私も思い出して納得してしまった。
でも二人は今の謎に自尊心と傲慢さで構築された錬金戦団と違って未来の世界の戦団なので私は問題ないと思うんですけど。
……まあ、武藤君とヴィクター・パワードにした仕打ちはゴミだと思う。自分の不手際をたった一人に押し付けるなんていうのは本当に大人のやることじゃない。
「景、コイツらが錬金戦団だって知ってたか?」
「ドクトルの知り合いなら可能性はあると思っていましたよ。それに未来の世界を生きる彼等は今の戦団の現状を知っているとは思えませんし」
私の言葉に二人が未来の人間だと思い出してくれたけど。今まで海外諸国を巡っているときに幾度となく襲われた事も事実であり、左之助さんは困ったように唸りながら私の隣に座って二人を見上げる。
「二人とも素直に話してくれる?」
「……分かりました。すでに糸色さんは気付いていると思いますけど、オレは貴女と左之助さんの子孫で、数えたら玄孫になるんだ」
「(ん?えっ、本当に私の子孫だったの?冗談半分で想像していたけど。まさか武藤カズキが……確かに良く見たら左之助さんに似ているとは思ったわよ。えぇ、どうしましょう?驚きより嬉しい、しとりとお腹の子も幸せになってくれるんだ)……フフ、そうだったのね」
にっこりと微笑んで武藤君の言葉に頷き、私は左之助さんの手を握って「この子は大丈夫ですよ。左之助さんに似て、しっかりと自分の意志を貫ける人です」と伝えて、ドクトル・バタフライが止めに来ない事も言えば渋々と納得してくれた。
玄孫ということは四世代か五世代よね。
私達の子供は健やかに生きてくれていると知れるのは、とても嬉しいことだけど。これでようやく蛮竜の継承権の事も少しは予想できるようになった。
今、左之助さんの持つ蛮竜を受け継いでいるのは武藤君じゃなくて別の人であり、武藤君と津村さんをその人の助言か何かを貰って、時逆時順のように過去にやって来たということになる。
「じゃあ、その玄孫がこの時代にやって来た本当の理由は何なんだ?オレの蛮竜の継承権がどうのってのは聞いているけどよ」
「それは私が説明します。今から百数年後、私達の時代に『奈落』という強大な妖怪が復活し、武装錬金だけではヤツを倒せない事態に陥っているため、糸色……カズキの親戚が持つ蛮竜が必要なんです」
その言葉に襖を少し開けて聞いていた剣心さん達が相談を始めているけど、今はそんな事に意識を割いている瞬間じゃなくなっていた。
奈落。「犬夜叉」のラスボスにして最初から最後まで愛憎の混じった感情を桔梗に向けていたメンヘラ気質の陰湿ストーカー大妖怪の名前だ。
いや、奈落を名乗る転生者の彼の可能性もある。
どうやら私達の子供の生きていく未来の世界は中々に混沌極まりない世界になっているようですね。しかし、奈落がいるなら骨喰いの井戸のある日暮神社に行けば、戦える武器や助っ人を呼びに行けるんじゃ……?