某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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二人の正体 急

「ハハハッ。急所を狙うのは良いけど、怒りや殺意で剣を振るえば容易に次の手を読めてしまうよ。ほら、次は左薙ぎと見せかけての唐竹と逆風の同時攻撃」

 

「チッ!」

 

道場に行けば左之助さんと武藤君だけじゃなく、津村さんと姿お兄様の稽古を見ることが出来る。左之助さん達は戦闘スタイルも似ていて、お互いを高め合える動きを見せているけど。

 

姿お兄様の稽古は徹底的に先読みと攻撃の幅を広げる事を重点的に鍛えるように津村さんと実戦的な訓練を繰り返して、ものすごい速さで動き回っている。

 

緋村剣心や瀬田宗次郎には見えている様ですけど。

 

私には二人の動きは見えないし、道場の屋根や地面に切り傷が見える度、驚きとしとりの「おー!」という声が聴こえるばかりで、とても大変です。

 

「和尚、次の相手頼むぜ」

 

「うむ、未来の世のために私も出来るだけ本気の気迫と力で武藤カズキを相手しよう」

 

「悠久山和尚、お願いします!」

 

巌のように練り上げた巨体で構える悠久山和尚に武藤君は怯むことも臆することもなく、木製の槍を構えた真向勝負を仕掛けていく。

 

特訓のため二重の極みは使わないものの、あの悠久山和尚と打ち合うのは凄く痛いだろうなと自分が戦っている訳じゃないのに武藤君が殴られる度に思わず、ギュッと目を瞑ってしまう。

 

「ウオオォオォオッ!!!」

 

「ん!ん!」

 

私の膝の上に座っているしとりも武藤君の動きを真似するように手を動かしていてかわいい。左之助さんも「もっとデカくなったら喧嘩のやり方教えてやるからな」と言い、彼女の頭をワシャワシャと撫でてあげる。

 

お母さんとしては喧嘩するのはやめて欲しい。でも、左之助さんとお義父様、姿お兄様の姿を見ているとしとりも強くて優しい人になるのは間違いないのよね。

 

「母ちゃん、しとりもやる!」

 

「フフ、しとりが大きくなったらね」

 

「ん!がんばる!」

 

フンスと胸を張って私の膝を降りたしとりは背伸びする手足を伸ばす。かわいい、とっても可愛いけど、まだまだお母さんのお膝の上で一緒に居て欲しいな。

 

「なんや楽しそうやし、ワイも嬢ちゃんの相手してくるわ。鎌足、お前も来るか?同じ鎌使いみたいやで、ご助言ぐらいしたりぃ」

 

「えーっ、まあ、姿もいるから良いけど」

 

私の監視と護衛を兼ねていた本条さんと沢下条さんも津村さんの特訓に加わり、鞭のようにしなる薄刃乃太刀と大鎖鎌の動きに悪戦苦闘している。

 

シンプルな突撃の多いパワー型の武藤君と違って、高速移動や正確無比な斬撃を得意とする津村さんにとって、予測不可能な動きは回避能力と攻撃の隙間を見付ける観察眼を高めるのに持ってこいですね。

 

 

 

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