警察署内の訓練所を借りて、蛮竜を掴めるようになった武藤君と素手で戦っている左之助さんにハラハラしながら、私はしとりを抱き締めて、不安になりながら二人の戦いを見守ることしか出来ない。
「サンライトスラッシャー!!」
「踏み込みが足りねえなァ!!」
真っ直ぐに穂先を突き付けて駆け抜ける武藤君の必殺技「サンライトスラッシャー」を一歩足りとも避けるそぶりを見せず、左之助さんは力任せに蛮竜の刀身を殴り落として軌道を無理やり変えた。
楽しそうなのは良いんですけど。私は左之助さんと武藤君が大怪我をするんじゃないかと心の中が不安でいっぱいになってしまう。
津村さんも姿お兄様や本条さん達と乱戦状の戦いを繰り広げ、日に日に武藤君より強くなっている様に見える。やっぱり経験の差はそう簡単に埋まるなんていうことは早々にないのかしら?
「良いね。大分、良くなってきた!」
「一々騒ぐな、シスコン男がッ!!」
「しすこんってなんや?」
「さあ?」
姿お兄様の煽る様な褒め言葉に怒り心頭の津村さんが、素直な気持ちでお兄様の事を罵倒する。やはり、客観的に見ると姿お兄様はシスコンなのですね。
そう考えていると小首を傾げて私を見上げるしとりと目が合い、むにむにと彼女の頬っぺたを触りながら「シスコンっていうのは家族が大好きって言う意味ですよ」と、やんわりとした教えてあげる。
「なんや、普通の事やな」
「もっと酷い意味かと思ったけどね。あっ、姿。そろそろ私が交代するから下がって良いわよ」
「ん。そうかい?ありがとう、鎌足」
「フフ、別に良いのよ♪︎」
…………何だか本条さんと姿お兄様の関係が少しだけ気になってしまいます。薫さんや恵さん、妙さん、三条さん以外に同性のお友達がいないから寂しいです。
まあ、みんな私にとって大切で大事な一生仲良くして頂けるお友達ですから問題ないですけど。本条さんが義姉になるのもそれはそれで嬉しいです。
「じゃあ、行くわよ!」
「今度はお前か…本条!」
「津村ちゃんがそのヘンテコな鎌で私の大鎖鎌を越えられたら強くなれるんだから。それに嫌な顔している間に貴女の恋仲の子はどんどん強くなるわよ!!」
「ま、また、そうやってっ!?」
顔を林檎のように赤くしながら
「ふう、流石に若い子は成長が早いね」
「ねえ、姿お兄様」
「なんだい?」
「姿お兄様は本条さんの事好きなのですか?」
「友人的か異性的かという意味なら両方の意味で僕は好ましく想っているよ。あんなに快活として自分の意志を貫ける人は初めてみたからね」
……私は左之助さんに夫婦になろうと言われたとき、あんなに取り乱してしまったのにつまらないです。けど、本条さんがお義姉様になるなら私も家族として、とても嬉しい気持ちになります。