「左之、弥彦から電信でござるよ」
大所帯になってきた我が家の朝食はお隣さんの緋村剣心達も加わった十人越えで始まり、左之助さんと沢下条さんの肉の腸詰め、ソーセージを取り合うところに手紙を差し出す緋村剣心。
「あだぁっ!?」
ソーセージも手紙も手に入れた左之助さんのフンスと胸を張る姿にしとりも真似しようとするので、ご飯の時は暴れちゃダメよ?と教えてあげる。
「……剣心、コイツは本当なのか?」
「弥彦はウソを言わんよ。東京にも剣客兵器を名乗る集団が出現し、今は由太郎と協力して対処しているそうでござる。恐らく奴らの目的は雷十太の勧誘か弥彦達の勧誘でござろう」
「道場がまた壊れて…」
「か、薫さん、大丈夫ですよ!」
頭を抱える薫さんを励ますものの、東京の我が家の崩壊もあり得る事実に不安を抱く。まだ剣客兵器の件も薫さんのお父様の捜索も終わっていないのに。
何故、こんなことになったのでしょう。
私達のやり取りに首を傾げたり、現状を把握していない武藤君と津村さんに「少しだけお仕事が面倒臭いことになっただけですよ」と伝える。
「明神君と塚山君は何て書いているの?」
「嗚呼、此方は心配するなだとよ。剣客兵器の件も弥彦達で対処出来るさ。それに大それた理念を掲げるだけで弱いヤツを切り捨てる奴らに負けると思うか?」
「思いませんね」
「だろ?」
そう言って話す私達とウンウンと頷く緋村剣心と薫さんに会ったことのない本条さん達も「そんなに強いんだ」と期待の眼差しを手紙に向けている。
いや、祝言を挙げるときに会ってますね。
「へえ、会ってみたいな」
「カズキ、君は目的を忘れてないか?」
「え?あっ、あはは……」
「全く、君はたまに抜けているな」
津村さんは呆れたように話しているけど。
その声色は優しくて武藤君を気遣っているのが私でも簡単に分かる声だ。二人の行く末が幸せに包まれているのを知っている分、こういう二人のやり取りを見るのも嬉しい気持ちになる。
まだ武藤君は蛮竜を完全に使えるようには至っていないものの。左之助さん達に鍛えられて、以前よりも強くなっている。
「(しかし、武藤君達はどうやって帰るのかしら?)」
しとりに卵焼きを取ってあげ、お箸の使い方を教えながら考える。過去にタイムスリップしてきたのは、まあ、二人の態度や動きを見れば分かる。
でも、帰る方法があるのか聞いてないのよね。
「ん!」
「しとり、好き嫌いはだめよ?」
「やっ!それきらい!」
茸が嫌いな子供はいるって聞いたことあるけど。しとりもそうなのよね、私もブニブニした茸は苦手だけど。好き嫌いって遺伝するのかな。