ここに武藤君と津村さんがやって来て僅か二週間だというのに、二人はやって来たときよりも確実に強くなっているように感じる。
左之助さんや緋村剣心達をはじめとした現代の戦士より純度の高い強さを持つ人達が付きっきり。みんな、二人の伸び代の高さと吸収力に楽しくなっている。まあ、流石に飛天御剣流は教えていないけど。
「本当に休んでて良いのかな…」
「私も同感だが、休息は大事だよ」
そう言って中庭の見える縁側に腰掛けて、ぼーっと青空を見上げている武藤君と津村さんの後ろをしとりが剣路君と駆け抜けていき、その後ろを薫さんが摺り足で素早く追い掛けていく。
「(……摺り足ってあんなに早いんだ……)」
私は居間の机に置いた菓子鉢の醤油煎餅を取って食べる左之助さんの湯呑みに急須でお茶を注ぎつつ、二人の背中を眺めながら「武藤君と津村さんって未来の更に未来で結婚するのよね」なんて考えている。
しかし、私と左之助さんの玄孫の糸色賛さんは蝶野攻爵……パピヨンとお付き合いしているそうですけど。あの蝶・セクシャルバイオレットな服の殿方と並んで歩ける度胸は尊敬してしまう。
あの舞踏会にも参加できる一張羅を左之助さんが着るのは私としては有りか無しかで言えば有りだけど。左之助さんの印象は良くないんですよね。
あんなにカッコいいのに、なんででしょう。
「景、今変なこと考えてなかったか?」
「……いいえ?」
「少し考えたから何か有るな」
「ふぁにもにゃいれふ」
むにむにと頬っぺたを片手で挟んで、私が考えていたことを聞き出そうとする左之助さんの手をペチペチと叩きつつ、あの一張羅を作って、今の内に日本中に広めようと考えていた事を言えるわけないです。
「オレに言えないことか?」
「……その言い方はズルいです……」
渋々と私は懐に折り畳んでいた蝶・素敵な一張羅のデザイン案を描いていた紙を左之助さんに差し出したら動きが止まり、チラチラと私達のやり取りを見ていた武藤君達にも予備のデザイン案を見せてあげる。
「「なんだこれ……」」
「すげえカッコいい」
「変態過ぎるぞ」
二人の対照的な反応を確認し、もっと大胆にするべきだろうかと考えながらフリルの部分を増やすか、胸元のリボンを変えるべきかと熟考する。
「コイツは世界を滅ぼす可能性がある。やめとけ」
「糸色さん、私もそう思うから止めて下さい」
「でも、オシャレでカッコいいし……」
「この服はオシャレだよ二人とも!」
「「絶対にアレはオシャレじゃない!!」」
そう言って私のデザイン案は取られてしまった。
まあ、ドクトル・バタフライが広めてくれると思うから私が無理に広める必要はないわね。