凍座白也の肩車を降りたしとりと手を繋ぎ、甘味処で一緒にお団子を食べている傍ら。甘いものを取り合っている姿お兄様と凍座白也の騒動を止める左之助さんを私は静かに眺めている。
おはぎが美味しいのは分かりますけど。
子供の視ているところで取り合うなんて大人げない姿は見せないでほしいです。しとりが真似したらどうするんですかと言いたい。
「子供に悪影響だろうが!」
あ、左之助さんが言ってくれましたね。
「相楽殿、一つ問いたい」
「剣客兵器の勧誘云々は断る」
「いや、そちらではない。お主が奥方と娘御を大事にしている理由だ。今後の参考とは言わんがまだ見ぬ剣客兵器の育成に役立つやも知れん」
「愛する妻と娘を大事にするのは当たり前だろ。大事な家族を守るのは男としても、夫としても、そして父としても当然の事だ」
改めて、そう言ってもらえるのは嬉しいですけど。こんな大勢の見ているところで、そんな声高らかに宣言しなくても良いじゃないですか。
すごく恥ずかしいです。
「しとりもすき!」
「おう。オレも好きだぜ」
「私もしとりが大好きですよ」
「ん!」
私と左之助さんの腕を掴んで、フンスと胸を張って凍座白也と姿お兄様に自慢するように見上げ、その可愛らしい姿に彼女の頭を思わず撫でてしまう。
しとりは可愛くて素敵な女の子です。
剣路君や天兵君なんていう男の子が貴女を好きになっちゃうのは仕方ないですね。まさか、これが前世で有名だった小悪魔系というものなのかしら?
「姿の妹家族は面白いな」
「まあ、僕の妹と義弟だからね。生半可な男だったら僕が切り捨てて実家に連れ帰っていたよ。あ、そういえば縁談の話は断っておいてくれる?」
「ムッ。何故だ?」
「ちょっと気になる人が出来たんだ」
そう言って微笑む姿お兄様に「本条さんですか?」と問いたい気持ちを押さえていたら「中国行きの船旅も彼女となら楽しそうだ」と呟くのを聞いた。
これはもう確定なのでは?
本条さんが私のお義姉様になる。
「祝言挙げるのか、儂以外のヤツと」
「まあね。っていうか、語弊が無いかい?」
「今夜は帰したくない」
「おっとぉ…コイツは困った事になりそうだ」
なんだか聞いたことのある台詞を呟く凍座白也を思わず二度見してしまった。こ、これは凍座白也は久能帯刀のポジションだったのでしょうか!?
ああ、お兄様の恋路にワクワクしてしまいます。
「景、アイツって衆道なのか?」
ヒソヒソと話し掛けてきた左之助さんに「姿お兄様はお姉様にもなれますから」と言えば納得し、両目を見開いて二人の事を口を大きく開けて見つめている。
愛には性別も国も地位も関係ありませんから。