某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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偽號の男 序

剣客兵器も活動範囲を縮小しているのか左之助さんと緋村剣心達は半月も目立った行動を起こしていない剣客兵器を警戒している。 

 

その間に私としとり、個魔の方、薫さん、剣路君、クズリのドンは神谷越路郎の捜索を続けています。剣客兵器が猛者人別帳の一頁に記載しているという事はかなり手練れの剣客なのは事実です。

 

「けんちゃん、もつ?」

 

「もつ!わあ…」

 

「えっ、ちょっと剣路!!」

 

ドンの手綱を差し出すしとりに笑顔で答えた剣路君でしたが、クズリのパワーに引き摺られるように駆け出していき、薫さんが慌てて追い掛けていってしまった。

 

しとりは「ん!げんき!」と嬉しそうに笑っている。

 

彼女は友達にペットのお散歩をやらせてあげようと思っての行動なんでしょうけど。しとりの握力と筋力は三歳ながらも二十歳の私より強く、クズリの前進を押さえつける事は十分に可能なのである。

 

「あらあら、離しちゃダメよ」

 

「ドンもたのしそだよ?」

 

「楽しそ……楽しそう?」

 

剣路君を連れ回しているクズリのドンに視線を向けると確かに楽しそうに駆け回っているようにも見える。でも、ヒグマも襲うイタチ科の最大最強のクズリなんだけど。あの子は何であんなに人懐っこいのかしら。

 

まさか転生者……ないですね。

 

ドクトル・バタフライも転生するのは人間か人間に近しい種族に生まれ変わるのは神々の定めた絶対の原則であり、ホムンクルス化した彼が人間としての矜持を失わないのはその原則のおかげもある。

 

「(まあ、紳士を装った変態ですけど)」

 

「はあっ、はあっ、漸く捕まえた」

 

「ドン、はしるのめっ!」

 

ワシャワシャと頭を撫で回しながら怒るしとり。本人は怒っているつもりなのでしょうが、褒めているように見えるのも仕方ないですね。

 

「母者、後方に殺気を感じるよ。さっさと行け」

 

「(ありがとうございます、個魔さん。帰ったら個魔さんの好きなニシン蕎麦を作りますね)薫さん、お疲れかも知れませんが聞き込みを再開しましょうか」

 

「え?えぇ、そうね」

 

しとりの影と繋がっている個魔の方は後ろ向きに移動し、いつでも私達を抱えて逃げることが出来るように準備してくれている。

 

「走り出した、飛ぶぞ」

 

「おーーーっ!!!」

 

「へ?」

 

個魔の方の広げた黒衣が私達の身体を優しく包み込んで飛び上がり、色付き眼鏡を掛けた左之助さんより大柄な体格の男が私達の事を見上げている。

 

凍座白也の纏っていた防寒具の柄と同じということは彼も剣客兵器のひとりなのでしょうが、いきなり人混みの中で仕掛けてくるなんて……。

 

 

 

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