「よ、ようやく追い付いた」
「まさか我が家まで追ってくるとは……」
「景としとりを追い掛け回すな、身重だぞ」
私と薫さんを守るようにやって来てくれた左之助さんと緋村剣心は肩で荒々しく呼吸を繰り返して、今にも倒れそうな大柄の男の人は置盾にも似た大剣を地面に突き立て、ぐったりと地面に座り込んでしまった。
まあ、それだけ重そうな武具に加えて子供を抱えていれば疲弊するのは当たり前ですけど。そもそもここまで追い掛けるのは止めれば良かったのでは?
「ん!あめ!」
「欲しいの?」
「ん!しとりのもある!」
「金平糖、良いよね」
子供は子供で仲良くしていますけど。
剣路君のしとりを取られたくないという気持ちなのか、ギュッと彼はしとりに抱き付いて、剣客兵器の少年としとりを挟んで対立している。
「糸色殿を追った理由を聞かせて貰おうか」
「いや、ちょいと相談が」
「却下だ。女房に相談して良いのはオレだけだ」
「左之、静かにするでござ……左之?何故、蛮竜を構える!?待つでござる!?」
「離せ剣心!お前だって嬢ちゃんのケツを追い掛けるふてえ野郎が居たら怒るだろ!!コイツはオレの女房のケツを追い掛け回す助平な剣客兵器だ!」
助平な剣客兵器って、左之助さん……子供も居るんですから破廉恥な言葉は控えて下さい。しとりや剣路君が覚えたらどうするんですか。
あと緋村剣心も「そう言われると仕方ないでざるか」とか悩まないで下さい。いつもの不殺の意思はどうしたんですか、左之助さんも落ち着いてほしい。
「左之助さん、ダメですよ。しとりも見てます」
「ん!父ちゃんみっけ!」
ひょいっとしとりを個魔の方に抱き上げて貰い、ビシッ!と左之助さんのことを指差してもらう。本当は人の事を指差すなんていうことは止めて欲しいけど。
今回だけは我慢しましょう。
「…………わかった。で、相談ってのは?」
「剣客兵器を助けてくれ」
……雲行きが怪しくなり始めてきましたね。
「まずこの細腕で助けられますか?」
「景さん、はしたないわ」
「アンタの知恵を借りたいんだ」
いつものやつですね。私の「特典」は半分以上も制限されているのに、それを知らない人は私の知恵を借りようと集まってくる。
左之助さんもまたかという感じで頭を押さえるように苦笑している。ドクトル・バタフライに言って全ての面倒事を押し付けてしまいましょうか。
もう、それがベストな気がしてきます。
「景は渡さねえし手伝わせねえよ。剣心、斎藤達には伝えてるよな?」
「嗚呼、此方に向かっているでござる」
あ、わりと普通に断って良いんですね。