「お帰りなさい、左之助さん」
「お帰り、剣心」
しとりと剣路君が眠ってから、ずっと玄関先で薫さんと一緒に待っていた人を出迎える。二人ともボロボロの格好で今にも倒れそうな動きで私達を抱き締める。
いつも通りですねと安堵しながら彼の背中を優しく叩いて離して欲しい事を伝えると「景、少しだけ二人で話したいことがある」と小さな声が耳元で呟かれ、彼の真剣な眼差しに何となく状況を理解した。
おそらくドクトル・バタフライが私に関する何かを伝えたのでしょう。薫さんと緋村剣心に視線を送り、傷だらけの左之助さんを連れて居間に向かう。
寝室にはしとりと剣路君がいる。
護衛してくれていた本条さん達は今は外で斎藤一達と話しているから、きっと時間は掛かるだろうし。うん、ちょうど良い機会かもしれない。
縁側の戸と廊下の襖を閉めて、戸棚に仕舞っていた救急箱を取り出し、簡易的な手当てを左之助さんにしながら「聞きたいことを話して下さい」と告げる。
「景、ドクトルに聞いたんだ。お前の周りでは危険な事は必ず起こるって……その身体の弱さもお前の持っている力が原因なんだろ。どうしたら、そいつを消し去ることが出来るんだ?」
「この力を消す事は出来ませんよ、神様のくれた大切な私が生きていたという証でもありますから。それに、もしも消えるのは私の死ぬときです」
「ッ、どうしたら良い?お前と子供を守るにはオレは何をすれば良いんだ。教えてくれ、オレに出来ることがあるなら教えて欲しいんだ」
「……フフ、もう左之助さんに助けて貰っているし、守って貰えています。貴方と出会えたことが私にとって一番の幸せで、しとりやこの子と過ごせるのも全部左之助さんが私にくれた宝物なんです」
完全に身体を貫通した傷痕に核鉄を宛がい、回復を促しながら血を拭き取り、アルコールで消毒しながら止血し、私のせいで傷だらけになった彼の身体に自分の存在が嫌になりそうななる。
「オレもお前に出会えて良かった」
「じゃあ、お揃いですね」
そう言って核鉄の力を借りて少しずつ傷口が塞がり始めた腕や肩、お腹にガーゼを着け、その上に包帯を巻いて傷口が開くのを押さえる。
「景、愛しているぜ」
「知ってますよ、左之助さん」
まだ手当ても終わっていないのに抱き締めてくる左之助さんを抱き締め返す。大きくて力強い身体、出会ってから何度も私を助けてくれたのは左之助さんで、私は貴方のおかげで幸せになれました。
「長生きしてくれよ」
「えっ、まあ、はい」
「おい、そこは言い淀むなよ?!」
焦りと驚きで私の肩を掴む左之助さんの必死さにクスクスと笑いながら「大丈夫です、ちゃんと左之助さんとお婆ちゃんになるまで生きたいですから」と伝えれば、ほうっと息を吐いて満足してくれた。