某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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妖の尾 破

「ゲホッ!……ゴホッ、ゴホッ…ハァッ…けほっ…」

 

喉に詰まったものを吐き出す感覚と掠れた呼吸の息苦しさに1メートルを全力疾走した様な疲労感に押し潰されそうな身体を無理やり起こす。

 

左之助さんが、いない。

 

眼鏡を掛けているのにボヤける目元を擦り、着物の袖が真っ赤な血が染み込んでいる。鼻血だけじゃなくて、血涙や口からも血が出てるの、かな?

 

重たい身体を木の幹を支えに立ち上がって左之助さんを探すように歩き出した瞬間、金属のぶつかる音が聞こえてきて、そっちに進んでいったその時、左之助さんが青白い雷撃を纏って雪代巴と戦っていた。

 

「───ッ、また…ゴフッ、見えッ…」

 

ズキリと頭の痛みに倒れそうになりながらも左之助さんの事を見つめる。強く、強く、青白い雷撃を纏って戦う彼の鉢巻きが潮君の妖気を吸って伸びた髪のように雷光を残して駆け抜ける。

 

ドクトル・バタフライの手術のおかげで抑圧・制御されていた「前世の記憶の保持」が暴走して、私の目に見えるもの全ての情報を事細かに脳に流し込んでくる影響で、擬似的な未来予測を勝手にしているんだ。

 

「蛮竜ッ!!」

 

「獣の槍ッ、どこまでも…!」

 

とうとう雪代巴の声ではなく白面の者の声を出して、蛮竜を睨み付けるホムンクルスほ雪代巴の身体を奪った白面の者の怨嗟の声が木霊しながら、彼女は木々の間を走り抜け、何処かに消えてしまった。

 

「……ハアッ、ハァッ……景のところに行かねえと…」

 

「こ、ここ、にいま、す!」

 

パタパタと手を振って左之助さんに場所を伝えると蛮竜をかなぐり捨てた彼が地面に転がり込むように私に抱き付いて、ペタペタと身体を触って怪我をしていないのかを確かめてくれる。

 

「糸色君、また出てしまった様だね。少し身体に触るが構わないね?」

 

「は、い…」

 

「頼むぞ、オッサン!景を助けてくれよ?!」

 

「落ち着きたまえ。まずは診察しなければ」

 

ゆっくりと顔を触って目尻を引っ張り、血涙を流す目の中を確認するドクトル・バタフライの動きと彼の情報が頭の中に流れ込む。

 

しかし、彼は気にすることなく心音を確かめ、自分でも分かるほどに酷い呼吸音、脈拍を計りながら、頭の中にチャフを入り込ませ、カチリと何かが閉じる感覚で身体の苦しさが薄れる。

 

「これは応急措置だ。一刻も早く私の研究所に運んで手術しなければいけない。奈落、君は雪代縁の治療を頼む。相楽君はしとり君を連れて、この住所を訪ねてくれ、そこに私達はいる」

 

そう言うとドクトル・バタフライは私とお腹の子を傷付けないようにチャフで作った揺り篭に乗せ、迅速的に動いてくれるけど。

 

私達が苦しかないように緩やかな速度で飛行する。

 

 

 

 

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