某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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才媛麗女奪還 破

般若の野郎を叩き潰した大廊下を抜け、だだっ広い部屋に出る。無駄に広い部屋の真ん中にある階段を上がろうとした瞬間、鈍く黒光りする鉄塊が地面を砕き、浅黒い肌の男が階段の上に立っていた。

 

「左之、ここは拙者が相手を致す。弥彦と一緒に糸色殿と恵殿を助けに行け」

 

「抜刀斎の相手は御頭に譲りてえがご指名とあらば仕方ねえか。通りたきゃさっさと通りな、テメェの女も居るかも知れないぜ?」

 

「テメェ…!」

 

わざと階段の手すりによって道を開ける男に怒りに任せて斬馬刀を握り構えるが、剣心の「ヤツの言う通り、早く行ってあげるでござる」と諭すように言われ、弥彦を担いで階段を駆け上がっていく。

 

剣心のヤツが負けるわけねえが、あの筋肉の盛り上がり具合は明らかに異常だった。前に糸色が話してた筋肉を正しく育てる方法をアイツは知ってるのか。

 

無理やり糸色から聞いたかだ。

 

「左之助、あの扉の向こうだ!!」

 

「おう!」

 

オレの背中に移動していた弥彦の指差す扉に斬馬刀を振り下ろし、扉の周りも粉々に粉砕し、木片や壁の瓦礫を蹴り倒して部屋の中に踏み込み、オレに目もくれなかった外套の男──四乃森蒼紫を睨み付ける。

 

「抜刀斎は式尉が相手しているのか」

 

「テメェからすりゃあ剣心じゃなくて残念だろうがよ。此方は大事な女を見す見す拐われてんだ、テメェは絶対にブッ倒す!」

 

「吠える前に来い、相手をしてやる」

 

「このスカし野郎がッ!!」

 

般若の野郎と似たような構えを取る四乃森蒼紫に斬馬刀を右に薙いで攻撃を繰り出し、斬馬刀の刀身の幅を利用した大振りで間合いごと地面を砕き、僅かに外套の裾の端を斬った。

 

「チッ、流石に当たらねえか…!」

 

「振り下ろしと横薙ぎ、この二種の攻撃しか出来ん骨董品の斬馬刀でオレに攻撃を当てたことは褒めてやる。───だが、貴様は所詮あの女の価値も分からない破落戸だ。抜刀斎と戦う前にさっさと死ね」

 

「があっ!?」

 

その言葉と共に鈍い銀色の光が横切ると同時にオレの身体は斜めに切り裂かれ、身体中に強烈な痛みを感じながら、斬馬刀を手放して地面に片膝を突いてボタボタと流れ出る血を押さえつける。

 

なんだ、オレは刀で斬られたのか?それともアイツに殴られたのか。

 

訳も分からず倒れる身体を起こし、ジットリとした背中を伝う嫌な汗と肩から胸にかけて生じる痛みに堪えながら斬馬刀の柄を掴み、杖代わりにして立ち上がる。

 

「左之助!脇差を隠し持ってやがったのか!!」

 

「お子様は静かにして黙っていろ。そして、駆けつけるのが一歩遅かったようだな人斬り抜刀斎。貴様の仲間は既に片付けた」

 

「テメェ、誰を片付けたってェ…!」

 

もう一度斬馬刀を振ろうとした瞬間、オレは肩を掴まれる。相手は分かっている、剣心だ。

 

「その傷では無理だ。拙者が相手をする」

 

「……チッ、負けたら許さねえぞ」

 

「剣心は負けねえよ左之助!」

 

「そんくらい知ってらァ…!」

 

まだ糸色だけじゃねえ高荷恵を連れ去った御庭番衆の奴らが二人も残っているっていうのに、オレは般若面の野郎を一人倒しただけか。

 

 

 

 

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