某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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妖刀の導き 序

「……あの、何しているんですか?」

 

「鍛練だ」

 

ドクトル・バタフライの研究所の敷地内で裏正を振るって刀身の重さや間合いを確かめている雪代縁の手元に在る裏正の捻巻の柄と肋を模した鍔が変わっていた。正確には肋の鍔を取り外しているのだ。

 

虎伏絶刀勢を使うために必要な事なのかも知れないんですけど。その妖刀の本来の刃筋は峰側の鋸刃状の赤い刀身なんです。

 

「(……そう言えたら良いんだけど。戦国時代の、それも姿お兄様が収集していた物を私が知っているのは不自然すぎて何も言えない……)」

 

私の態度に怪訝そうな視線を向ける雪代縁に一礼して、そそくさとドクトル・バタフライに頼まれていた薬品や道具を相楽交易商の従業員の人達に運び込んで貰い、本日の業務の終了と日給を一人ずつ手渡ししていく。

 

「姐さんもたまには飯どうだ?」

 

「私はまだ仕事がありますから」

 

「そうかい。来週号、楽しみにしてらぁ!」

 

相楽交易商の従業員ということもあり、彼らは出来上がった漫画を真っ先に読めるのです。まあ、一番最初に読むのは左之助さんだけど。

 

「糸色君は筋肉質な男が好きなのかね」

 

「私の好きな人は左之助さんです」

 

「初期の左之助君はヒモだったが?」

 

「それはそれ、これはこれです」

 

そもそも私はダメンズが好きなのではなく左之助さんという男の人を愛しているんです。まあ、確かに出会ったばかりの左之助さんは怖くて近寄ることも不安でしたけど。

 

今は優しい夫であり、頼もしいお父さんです。

 

「ドクトルはご家族には会ったんですか?」

 

「……嗚呼、君に諭されて少しした後に会いに行ってきた。まだ小さくとも凛々しく知性を感じる子供を抱いて、まだ化け物に成り果てた私の事を出迎えたくれたよ」

 

「貴方は化け物じゃありませんよ。本当なら転生者に関わらずに目的のために生きていけるのに私達を手助けしてくれて、何度も助けてくれました。だから、貴方は絶対に化け物なんかじゃありません」

 

そう言って私はドクトル・バタフライの背中を優しく叩いて、白面の者の尾に身体を乗っ取られた雪代巴の捜索を進めましょうと彼に伝える。

 

「君は臆病なのに頑張っているな。ただ、母として強くあろうと虚勢を張り続けるのはやめたまえ。君を大切に思う、家族や友人がいるだろう」

 

「はい、そうします」

 

彼の言葉に頷きながら研究所の通路を進んでいたその時、目の前に姿お兄様の持ってきていた刀を吟味している斎藤一を見つけてしまいました。

 

「アレは私が話しておいたんだ。彼も自分に見合う刀が無ければ大変だろうからね」

 

それは、そうですけど。

 

あそこにあるのは妖刀なのでは?

 

 

 

 

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