某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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進展と異形の姉 序

雪代巴の捜索を始めて数週間ほど経過し、人とは思えない美しさの女性を目撃したという噂は日に日に函館に戻り始めている。おそらく雪代縁か私の身体を狙っての行動なのでしょう。

 

しかし、私の身体に価値はあるのだろうか。

 

自分で言うのはアレですけど。

 

こんな1メートルも走れば疲労困憊になってしまうし、お薬を飲めんでいないと痛みは和らがないし、視界だって眼鏡を掛けて漸く見えるという近視の乱視で、使い物にならない気がするんですけど。

 

「(そもそも白面の者が私に固執する理由はなんなんでしょう。やはり転生者だから、そういう匂いでもあるのかしら?)」

 

「ん!ん!ん!」

 

「しとり、ドンを転がしちゃダメよ?」

 

「ん!グルグルするのかわいい!」

 

まあ、コロコロと転がっていくクズリは可愛いとは思うけど。ずっと転がしていたら、ドンも苦しくなっちゃうと。いや、ドンも楽しそうにしているわね。

 

「じゃあ、程々にね?」

 

「ん!ドン、グルグル!」

 

しとりの呼び掛けに応えるようにドンはその場で前転し、ゴロゴロと転がっていき、急カーブして戻ってきた。やっぱり、この子って妖怪なんじゃないの?

 

「犬夜叉」にもムジナっていう妖怪が、いや、あれはオッサン狸が変化していた美少女だったわね。蛮竜の転生者が奪鬼を知ったのは、おそらくムジナや刀鍛冶の刀秋よりも前でしょうね。

 

「糸色君、此方に来てくれ」

 

「はい?あ、私は良いです」

 

ズラリと並んだドクトル・バタフライ、雪代縁、白童子と奈落、斎藤一、永倉新八、石動雷十太、鷲塚慶一郎、姿お兄様、そして左之助さんの中に加わるのは嫌です。

 

あの時より怖いことが起きたら、きっと私の「特典」は二度と制御も抑圧も出来ない状態に変わるかも知れないという不安と恐怖がある。

 

というよりもまだ石動雷十太が帰っていなかったということに私は驚きを隠さないのですが、え?まさか私達のために残ってくれたんですか?

 

優しい……。

 

「オッサン、景は留守番で良いだろ」

 

「しかし、彼女を狙っている可能性も高い」

 

「左之助さん…!」

 

「じゃあ、仕方ねえか。景も此方に来てくれ」

 

「さ、左之助さん?」

 

しとりを抱っこして白面の者の尾と再会することを避けようとする私の事をしとりと一緒に抱っこして、いそいそと研究所の中に戻る左之助さんを見上げる。

 

ドンもテシテシと地面を蹴って追いかけて、私達と一緒に部屋の中に入り、私はお腹に負担を掛けないように柔らかなソファに移され、しとりとドンも私の隣に座って男性陣の会話を見つめている。

 

 

 

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