某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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進展と異形の姉 急

髪の毛を槍の如く飛ばす雪代巴の身体を乗っ取った白面の者の尾の攻撃を蛮竜で弾き、その隙を狙って斎藤一が本体を狙って真っ直ぐに相手を貫く牙突を繰り出し、その逆側を塞ぐように鷲塚慶一郎は狼牙を撃つ。

 

「キィッ!!」

 

「片手で俺の牙突を防ぐことなど出来ん!!」

 

斎藤一は更に加速し、刀身に竜の幻影が浮かび上がり、雪代巴の片腕を噛み砕く───否、そういう風に錯覚してしまうほどに強烈な気迫に私は怯えて、鷲塚慶一郎の狼牙が雪代巴の腕に突き刺さり、身動きを封じる。

 

だが、瞬時に彼女の身体は再生した。

 

ホムンクルスの修復能力と妖怪の衰える事の無いスタミナによる相乗効果を発揮し、雪代巴の身体は始まったときと同じく妖艶な美しさを保ったままだ。

 

破亜亜亜(ハアァァ)ッ!!」

 

「縁、貴方も私を斬るの?」

 

「お前は姉さんじゃない!姉さんの身体に入っているだけの虚ろな存在だ!」

 

ギャリィッ…!と鈍く重たい金属のぶつかる音が響き渡ると同時に雪代縁は裏正を下段に引き、切り上げの速度と威力を高めるために赤い鋸刃状の峰を蹴り上げ、出血するのも関係なく力強く刀身を蹴る。

 

以前のように怒りで斬りかかった訳じゃない。しっかりと彼女の事を見つめ、自分の意志を以て雪代縁は彼女を斬るという覚悟を決めている。

 

しかし、雪代巴は冷やかに自分の手を見つめた。

 

「そうか、この身体でもダメか」

 

ゾクリと身の毛も弥立つ恐怖で腰が抜け、その場にへたり込み、ヒュッ、カヒュッ、と乾いた息を何度も吸い込みながら左之助さんに渡された独鈷を握り締め、ガタガタと悪寒に身体が震えてしまう。

 

ゆっくりと私を射貫く視線に気付く。

 

「陽の中に紛れた陰に近い者、お前なら」

 

「景、逃げろッ!!」

 

左之助さんの叫び声が届くよりも速く雪代巴が私の視界を埋め尽くし、ガッシリと頭を左右から掴まれ、彼女の親指が無理やり私の口を開き、雪代巴も同じようにパカリと大きく開けた口内の奥に恐ろしい目が見える。

 

「~~~~ッッッ!?!!?」

 

助けてと言いたくても言えず、声にならない悲鳴をあげながら左之助さんに手を伸ばす。

 

それよりも速く雪代巴の口から化け物が飛び出し、私の身体に入り込んで来ようとした口に触れた瞬間、化け物は何かに拒まれた。

 

「なんだ!?なぜ入れぬ!」

 

「糸色殿、頭を下げよ!!ヌウゥンッ!!」

 

「景、後ろに倒れるんだ!」

 

その言葉に従って仰向けに倒れ込んだ瞬間、私の身体を乗っ取れずに混乱する雪代巴の口から出ていた化け物の身体を強烈な突風が化け物の白い胴体を十字に切り裂き、雪代巴の身体から引き剥がした。

 

「い、石動さん…姿お兄様も」

 

「大丈夫だよ。ほら、立てるね?」

 

「相楽殿の元に急がれよ。蝶の翁殿、吾輩の秘剣が通じるのは今だけである!完全に傷を癒やす前に総攻撃を仕掛けるべきだ!」

 

「Goodだ。石動君、彼に続きたまえ!」

 

ドクトル・バタフライの掛け声と共に現状を理解しきっていない白面の者の尾に向かって、みんなが各々の最大最強の技を繰り出すために駆け出す。

 

牙突が、狼牙が、飛天無限斬が、熱風が、飯綱が、チャフの斬撃が、次々と叩き込まれ、訳も分からずに狼狽える白面の者の尾が依り代である雪代巴に向かっていき、其処に待ち構えていた雪代縁が裏正を逆手に構える。

 

「そこをどけぇえッ」

 

物凄い勢いで迫り来る白面の者の尾の突進を真下に伏して構えながら裏正を振り上げた刹那、雪代巴の身体に到達する前に白面の者の尾は真っ二つに切り裂かれた。

 

かつて緋村剣心を倒すために編み出された絶技が奇しくも「虎」の名前を関する倭刀術絶技「虎伏絶刀勢」が白面の者の尾を打ち倒したのだ。

 

「さようなら、姉さん」

 

 

 

 

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