クズリとすねこすり。
イタチ科の最大最強の生き物と妖怪界の可愛さ部門ではトップ10に入っていそうな生き物が揃うのは驚いたものの、しとりがしっかりと躾けをしています。
「しとり、名前は決まったの?」
「ん!ドンのおともだちだから、おやぶん!」
「……左之助さぁん?」
「お、オレは何も教えてねえぞ!?」
なにか焦っている左之助さんの頬っぺたを摘まむために背伸びしたけど。届かなかったので、彼の手をペチペチと叩いて素直に教えるように訴え、縁側に座り直す。
「左之助さん、素直に教えて下さい」
「……と、賭場に行ってた…いや、悪いとは思ってるんだが誘われたら断るのも野暮だしよぉ…」
「ん!サイコロぽいするのすき!」
「しとりに変な事を教えちゃダメですよ?」
まさか賭場にしとりを連れていっているのは予想外だったけど。いわゆる、男の付き合い?というものなのかも知れないから一方的に禁止するのはダメです。
まあ、しとりを連れていった事はダメですけど。
ドンと親分。どちらもマフィアとか極道とか野党とかそういう感じの名前になってきて、お母さんとしては心配なんですが、しとりも名付けに自信を持っているので止めるのは無理ですね。
「ん!母ちゃん、おやぶん!」
「クズリのドンとすねこすりの親分」
猫にも見えるし、タヌキにも見える。
そういう生き物だと言われると納得は出来る。でも、やはり妖怪と普通に渡り合えるドンのほうが妖怪にも見えるのは何故なのかしら?
「景、怒ってるのか?」
「怒ってはいないです。ただ、しとりの生き物に懐かれやすい才能は何処まで行くのかと考えていただけですよ。……本当に妖怪にも好かれるなんて不思議な子です」
「しとりのおともだち!」
「私もお友達扱いかい?」
「ん!」
「嬢ちゃんは優しいね」
個魔の方の事を考えるとしとりも妖逆門に行くときはすねこすりを主軸としたバトルをするのでしょうか。普通にドンも戦いに参加しそうで不安です。
「母者、すねこすりは相手を転ばす能力を持つ妖怪だ。無自覚か意図的かは知らないけど、このすねこすりは転ばす能力はまだ使えないから安心しな」
転ばす能力。使い方を考えれば最強にもなるわね、相手の攻撃を逸らしたり、攻撃の向きを変えたり、そういうことにも使えます。
「ドンと親分はしとりを守ってね」
二匹とも頷いているようにも見える。いや、妖怪なら知性が高くて喋るのは分かる、クズリがこんなに普通に頷いているのをやはり妖怪に思えてしまう。
「景、どうした?」
ぐいっとお腹を圧迫しないように私を膝の上に乗せようとする左之助さんの手をペチペチと叩き、今はそういうのはダメだと訴えます。
しとりにしてあげてください。