「相楽カッケマッ、アタシのいないところで大変な事になってたそうじゃない。アタシも白面の者を一目ぐらい見てみたかったわ」
「いや、アレは中々に怖いものですよ」
「ところで、またタヌキが増えてるわね」
「アレはすねこすりらしいです」
「……妖怪じゃなかった?」
えぇ、まあ、普通に妖怪ではありますね。
ススハムの指摘に苦笑しながらしとりと一緒に眠っているドンと親分の事を見つめる。来客用の座布団と籠を寝床の代わりに左之助さんが工作してくれたおかげで眠るときは違うけど。
ごく稀に二匹がしとりの両側に寝ていることもあり、左之助さんは不満そうに二匹を退けようとすることもあったけど。今はたまに左之助さんも二匹と一緒に寝ていたりするので関係は良好だと思う。
「ススハムが来てたのか」
「ああ、来ているよ。別にずっと鷲塚と一緒にいるわけじゃない。夫婦だからって相手の時間を縛るなんてことはしないものだ」
「……そう、なのか?」
「えと、さあ?」
いつも左之助さんと一緒に居たいから、そういうことを考えたことは一度も無かったけど。普通の夫婦は自分達の時間を大切にするんですね。
「オレがいない間に景が襲われたらどうする」
「私は左之助さんがいないと不安なので」
「アンタ達はお互いに浮気するとか思わないの?」
「景が浮気?」
左之助さんはカッコいいから女の子にモテるのは仕方無いですけど。浮気なんて絶対にしないと信じていますから私は安心しています。
「とりあえず、手足を縛るか出られないように閉じ込めてオレがどれだけ景を愛しているのかを真摯に伝えるように努力すれば良いのか?」
「さ、左之助さん?」
「ウ~ン、これがレベルアップしたら相楽ニシパは手足を斬って何からなにまで相楽カッケマッの全部を世話しようとする狂気的なヤンデレ旦那に進化する事になるわね」
「ひえっ」
ススハムのとんでもない左之助さんの進化先を想像する言葉に怯えて、彼女の後ろに隠れながら「そんなことしませんよね?」と不安げに左之助さんに問いかける。
「なんでオレが責められるんだ?」
「たまに居るのよね。自分の重すぎる愛情を受け止めて貰えることに慣れて、どんどん相手の事を愛して何でもしてあげようとするタイプって」
「……まあ、冗談は程々にしましょう。左之助さんも怖いことは言わないでくださいね?」
「悪い、怖がらせたか」
無自覚に縛るとか閉じ込めるとか言っていたんですか?と聞きたい気持ちもあるけど。そんなことになったら、すごく怖いので私は聞きません。