蛮竜を鍛え直す。
竜骨精の言葉を信じると私達は時代を超えて、戦国時代に向かうことになる。左之助さんは一人でも良いと言っていたけど、左之助さんって大事な交渉でも怒ったら先に手が出るときがあるんですよね。
「景、身重のお前を連れていくのは反対だ。ただでさえこの時代でも生きるのが辛そうだってのに、戦国時代なんぞに行ったら今度こそ大変な事になる」
「分かってます。だからこそ、私も一緒に行かないと行けないんです、それに左之助さんは戦国時代の事を何も知らないでしょう?」
「グッ、何とかなるだろ」
「ダメです。左之助さんが帰ってこなかったら私としとりとお腹の子はどうなると思っているんですか?左之助さんは私が再婚しても良いんですか?」
「は?あの世まで連れてくが?」
そこは「絶対に渡さない」でも良いのに、あの世が実際に存在する世界でそう言われると驚きよりもその愛の重さにドキドキしてしまいますね。苦笑する私の事を見下ろして、ブツブツと人名を呟く左之助さん。
緋村剣心とも斎藤一とも再婚しませんよ。
二人とも愛妻家じゃないですか。私が取り入れるわけないでしょう。まあ、そういうことにならないために私としとりも戦国時代に連れていって欲しいんです。
例え、この時代に帰れなくても貴方と一緒なら何処でも生きていける。まあ、未来の事を事前に知っているから帰ってこれない訳は無いんですけど。
「ほら、しとり達も準備出来ていますよ」
「ん!」
「嬢ちゃんと母者の護衛なら私達に任せな。父者には聞こえていないかも知れないが、どんな妖怪からも守り通してみせるさ」
頼もしい限りです。
「……分かった。だが、オレ達を戦国時代に送る方法なんて本当にあるのか?」
「フフ、既に私達は体験しているじゃないですか」
「…蛮竜か!?」
「いえ、そっちではないです」
おそらく今の蛮竜に時代を超える力は無い。
───もしくは、その力を持っているのに使うために必要な何かが欠けている状態なのでしょう。竜骨精の言葉を思い返せば、彼も蛮竜と戦ったような話し方だった気もします。
まあ、流石に冗談だと信じたいですけど。
「見ているのでしょう、時代樹」
「ほう、気づいていたか」
そう家に話し掛けた瞬間、支柱や大黒柱が軋み、淡い光が人の形を成していく。やはり、その人の形は「半妖の夜叉姫」と同じく桔梗だ。
そもそも家の造りが現代的すぎる事に気付いていたのに見落としていた私も悪いですけど。何故、こんなにも転生者がこの家に集まるのかも分かってきた。