家鳴りが終わったかと思えば私達は虹色の道に吸い込まれ、気がつけば草原の何処かに座り込んでいた。私のお腹の子を守るように草木は動き、衝撃を和らげるクッション代わりになってくれている。
「ありがとう、助かりました」
そう言って地面に突き刺さっている左之助さんとドンと親分、個魔の方に守られているしとりのところに運んで貰い、ゆっくりと地面に立つ。
空気が澄んでいて、呼吸が少しだけ楽だ。
「ブハアッ!?し、死ぬかと思ったぜ」
「やれやれ、何の説明も無しに飛ばすなんて時代樹は何を考えているんだろうな。やり方がワイルドすぎて、私も焦って父者を掴み損ねたよ」
「ん!ぴょーんした!」
「みんな、大丈夫ですか?」
パタパタと左之助さんに駆け寄って髪の毛や顔についた土を払ってあげつつ、北海道とは違う気候の良い青空の見える草原の穏やかな風に、ほうっと息を吐く。
おそらく、ここは武蔵の国でしょうね。
記憶を辿れば神奈川県や埼玉県、東京付近なのは間違いないですけど。問題は蛮竜を鍛え直してくれた刀々斎の工房がある活火山についてです。
このまま聞き回って辿り着けるのかは分かりませんし。まずは楓の村を目指して、事情を説明して助力を願うことが最善策───でも、ここが「犬夜叉」か「半妖の夜叉姫」なのかが一番の問題になりますね。
「何処か痛めたのか?」
「いえ、本当に戦国時代に来たんだな、と」
「……そういえば時代を超えちまったのか。しとりもドン達も着いてきてるし、今回は妖怪や人間と喧嘩するのは仕方ねえから我慢するとして、この蛮竜を鍛え直してくれる刀鍛冶を探さねえとな」
左之助さんが地面に埋もれていた蛮竜を引き抜いた瞬間、私は唖然としてしまった。蛮竜の刀身が、中程から粉々に砕けてへし折れているのだ。
「(負担を掛けすぎた?いや、でも蛮竜を鍛え直すためにやって来たのに蛮竜が壊れるなんて……こうなることを竜骨精と時代樹は知っていたの?)」
「景、風呂敷貸してくれ」
「私も手伝います」
「助かる。……悪いな、蛮竜。お前を折れるまで酷使して、白面の者の攻撃を何度も受けてりゃこうなるのも分かっていたのに怒りに任せてお前を振るっちまった」
土に埋もれていた蛮竜の欠片を一つずつ丁寧に集めた左之助さんは折れた蛮竜を担ぎ、風呂敷に包んだ蛮竜の切っ先と砕けた刀身の欠片を持ち上げる。
「父ちゃん、ばんりゅ、いたいの?」
「大丈夫だ。コイツは必ず元に戻してやるさ」
「母者、荷物は私の影に仕舞っておけるが……」
個魔の方の提案に首を横に振り、暫くは左之助さんに砕けた蛮竜の欠片を持っていて欲しいことを伝える。きっと、これも必要な事だから。