阿片および兵器密売の事件を企てていた武田観柳の目論みは私が気絶している間に終わり。私と高荷さんの犯してしまった罪は丸ごと武田観柳ただ一人に緋村剣心が左之助さんと明神君と一緒に押しつけてしまったそうだ。
そして、四乃森蒼紫の率いる御庭番衆は誰一人として欠けることなく生存し、今度こそ緋村剣心との決着を着けるために騒ぎを聞き付けてやって来た警官隊の中を押し通り、見事に逃げ仰せたと聞いている。
「糸色さん、そろそろ言うことがあるわよね?」
神谷活心流道場の中で正座する私を見下ろす神谷さんの顔はニコニコと笑っているものの。どこか怒っているようにも見えて、少し怖いかも知れない。
「別に怒ってるわけじゃないわよ」
「ご、ごめんなさいぃ…で、でも、私と高荷さんを助けてくれてありがとうございます」
「私からも助けてくれて、ありがとうございます」
そう優しい声でニコニコと笑っているけど。本気で怒っている神谷さんに頭を下げて謝り、私なんかを心配して戦ってくれた左之助さん達にも感謝の言葉と謝罪の言葉を高荷さんと一緒に伝える。
「しかし、糸色殿は本当に騒動の中心に居ることが多いでござるな。もう、いっそのこと左之に四六時中付きっきりで居てもらった方が良いのでは?」
名案を思い付いたと云わんばかりに手を叩く緋村剣心に「何を言ってるんですか緋村さん!?」と驚きつつ、明神君や神谷さんに助けを求める視線を向ける。
そうっと視線を逸らされた。でも、どこかワクワクとした雰囲気と期待の眼差しを私に向けていることが分かり、みんな私を揶揄っているだと理解する。
「全く、冗談でも怒りますよ」
「おう、冗談じゃ無きゃ良いんだな?」
「へ?」
神谷さん達の反応に今度は私が文句を言おうとした瞬間、ガトリング砲の銃弾を受け続けていた斬馬刀の手直しが出来るのかを聞きに行っていた左之助さんが、いつの間にか私の隣にしゃがみ込み、私を見つめていた。
「なろうぜ、夫婦」
「あっ、へう…」
左之助さんの言葉に戸惑い、神谷さん達を見る。
「ず、ズバッと言ったわね」
「ど、どうしたらいいんだ?」
「おろろ。これは目出度いでござるなあ」
「あ、あらあら、まあ」
いつの間にか高荷さんまで向こう側に移動して、私と左之助さんのことを見つめていた。そんな事にビックリしている間も左之助さんは「なあ、返事はくれねえのか?」と聞いてくる。
「よ、よろしくお願いしますうぅ…」
「おう!これからも宜しくな」
しょ、承諾してしまった。
これからは左之助さんが夫になるのかあ……。
あれ、私って左之助さんとそもそも付き合って、あれ?うん?どうだったかな?まあ、でも、左之助さんと夫婦の関係になるならそれはそれで嬉しいし、きっと彼となら幸せになれるな。