某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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刀々斎を探して 序

しとりの事を背負って歩く左之助さんの隣を並んで歩いているものの、フラフラと足取りは乱れ、今にも倒れそうになりながら草原を降っていく。

 

「景、大丈夫か?」

 

「ん!おやぶん、あれやって」

 

そう言われた親分はドンの隣から離れて、尻尾を追いかけるように一回転した瞬間、私の肩よりも高く大きくなってしまった。すねこすりが大きくなるパターンは知識で知っているけど。

 

目の前で起こるとビックリするわね。

 

「母ちゃん、のっていいよ!」

 

「え、えぇ、乗れるの?」

 

しとりの言葉に戸惑う。

 

でも、ゆっくりと背を屈めてくれている親分の背中に横向きに座り、お腹に負担を掛けないように歩いてくれる親分に「ありがとう。親分」と言いながら、モフモフした彼の頭を優しく撫でてあげる。

 

いつも左之助さんに背負って貰っていたけど。こういうのも風情を感じて、とても良いものに思えるのに左之助さんはショックを受けた表情を私に向けている。こう、何だか寝取られを受けた亭主みたいな表情です。

 

「景が、オレ以外のヤツに……」

 

「以外のヤツって、親分は家族ですよ?」

 

「……お前を大事にするのはオレだけで…」

 

「ん!しとりも母ちゃんすきー!」

 

やっぱり妖怪に取り憑かれてから、少しばかり変な事で悩むようになってしまった左之助さんの頭を優しく撫でながら「私は貴方以外の人と添い遂げるつもりはありませんから、そんなこと言わないで下さい」と伝える。

 

「悪いな、親分」

 

フスと鼻を鳴らす親分。

 

多分、彼は気にしていないんでしょうけど。

 

「ドンもおっきくなってね!」

 

しとりの言葉にピタリと動きを止めるドン。

 

まあ、そうなりますよね。いや、人間のようにピタリと動きを止めるのは動物としてはあり得ないこと、危うく見逃すたところでした。

 

「母者、妖怪の臭いだ」

 

「景、しとりを頼む。変な気配がする」

 

……妖怪の個魔の方が気付くのは分かります。

 

でも明治時代を生きる左之助さんが妖怪の気配を察知するのは色々と規格外なのでは?と思いつつ、しとりを抱き締めて親分の背中に乗せる。

 

「…あれは…飛頭蛮!?」

 

「アイツらか。それなら」

 

「ったく。父者は無茶しやがる」

 

砕けた蛮竜を構える左之助さんと黒衣を螺旋状に絞ってドリルのように回転させる個魔の方、そして私達に気がついた飛頭蛮がニタリと笑みを浮かべた。

 

「人間、喰わせろォ!!」

 

「無茶させるぞ、蛮竜ッ!!」

 

「私を見えない低俗な妖怪が嬢ちゃんの家族に手を出すんじゃない!」

 

しかし、左之助さんと個魔の方の一撃は飛頭蛮の巨大な頭を切り裂き、粉々に破壊した瞬間、僅かに蛮竜の妖気が膨れ上がり、ほんの一瞬だけ蛮竜の妖気が元に戻ったように見えた。

 

 

 

 

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