左之助さんと個魔の方が飛頭蛮を倒して、その亡骸の風化を見届けた私達は青空の続く道を進んでいると人と擦れ違うことも増え、親分を見られ警戒されることが増えてきた気がする。
この時代だとすねこすりは珍しいのかしら?
「(いえ、そもそも妖怪に乗っていることが怪しいんだ。ごめんなさい、私はこうして誰かに助けて貰わないと満足に遠出も出来ないんです)」
「妖怪の刀鍛冶って、そもそも名前も知らねえな」
「それなら知っています。この時代で天下三剣と謳われた二振りを鍛えた妖怪の刀鍛冶の名前は、刀々斎です。たまに名前の出る鉄砕牙を打ち出し、鍛え上げた伝説的な妖怪の名工です」
「……お前の知恵が本当に気になってくるな」
「あ、頭を割るんですか?」
ササッと自分の頭を守るように両手を頭を重ねると「自分の女房に酷いことするわけねえだろ」と苦笑しながら呟く左之助さんに向かって、霊能力の才能なんてない私でも分かるほどに清浄な気配を纏う矢が飛んできた。
「その子から離れなさい!」
「てめぇら、何者だ?奈落に似た嫌な臭いをさせがって」
緑色と白色のセーラー服を着た女の子と赤い衣を纏った少年の二人が現れ、私達と左之助さんを切り離すように大幅な刀を振り下ろした。
───間違いない日暮かごめと犬夜叉だ。
しかし、憧れの人達に会えた気持ちよりも左之助さんを襲われる事に怒りと不安を抱き、鉄砕牙を構える犬夜叉と折れた蛮竜を構える左之助さんの間に割り込み。
「お、落ち着いて下さい!う、ウチの主人は目付きは悪いですけど、悪人でも野党でもありませんから!今は家族で旅をしていッ、ゴホッ…ゴホッ、ごふッ…!…」
「景っ!?クソ、お前らの相手は後だ!親分、景を休ませるから座ってくれ」
ああ、大事な局面だったのに、また左之助さんに迷惑を掛けてしまっている。
蛮竜の石突を地面に突き立てた左之助さんに抱き上げられ、私は横向きに寝転んだ親分を背もたれにさせてもらい、ドクトル・バタフライと姿お兄様の作ってくれたお薬を口移しで流し込まれる。
「…んッ、こふっ…」
「これで、大丈夫か?」
「……すみません。左之助さん…」
「いや、オレの事は良いんだ。───で、此方も聞き返すぞ、テメェ等は何者だ。いきなり矢なんざ射ちやがって、子供に当たったらどうするつもりだ!」
ま、まあ、そうですよね。
日暮かごめはいきなり弓矢を使う人じゃない。大体は予想していましたけど、やっぱり何度も強い妖怪と戦ってきたから、左之助さんにも妖怪の臭いが色濃く纏わり付いているんです。
「……貴方、妖怪じゃないの?」
「奈落の臭いはソイツじゃねえ。そっちの女だ」
そして、犬夜叉が狙うとなれば奈落だ。
でも、その奈落じゃないんですよね。