「なんじゃ、もう帰ってきたのか」
「楓ばあちゃん、ただいま」
「楓婆、客だ。あと冥加爺はどこだ?」
「客?……この辺じゃ見ない顔だね」
私の知っている楓様だ。
ちょっと若いようにも見えるけど、些細な事なので警戒する必要もないのですが、こうして憧れた世界の人達に出会えるのは嬉しいです。
しかし、ジッと私を見つめる楓様の視線に戸惑いつつ、お辞儀をするとしとりも私を真似して頭を下げ、左之助さんは頭を軽く下げるだけで家の中から向けられる視線を警戒している。
「ふむ、ソッチの娘は懐かしい感じだ。まるで私があの人に会ったときに感じた…」
「楓婆の昔話は良いんだよ。冥加爺、刀々斎のところに案内してくれってヤツが来てんだ。コソコソしてねえで出てきやがれ」
「コソコソなどしておりませんぞ!儂は犬夜叉様がヤツの妖気を纏う者を連れてきた事に驚いているだけで、決して恐れているわけではないのです!!」
小さくて見え難いけど。
犬夜叉の手のひらに豆粒サイズの妖怪がいる。本当にノミのように冥加様は小さいことを知れたのは凄いんでしょうけど。眼鏡でも目を凝らさないと見えない。
「……ん!」
「おっ」
パァンッ!と犬夜叉の手のひらに向かってしとりが手のひらを叩き付けた瞬間、平べったくなってしまった冥加様が「がみょーん」と呟きつつ、ゆっくりとヒラヒラと舞って、地面に向かって落ちる。
「母ちゃん、たおしたー」
「チビの癖にやるヤツじゃな」
何処かのカエルの軍曹の様な声に釣られて、そちらに視線を向けるとしとりよりも小さな男の子がキツネの尻尾を揺らして立っていた。
「おう。七宝、弥勒達は大丈夫か?」
「ダメじゃ、瘴気の毒が抜けておらん」
「チッ。無茶しやがって」
ズカズカと家の中に入っていく犬夜叉を見送り、左之助さんと顔を見合わせる。やっぱり、こうして初対面の人達と話すのはドキドキしますね。
私は「物語」を知っているんですけど。私が生きているのは現実であり、作中に描写されていない事件や妖怪に関わる話もあるはずです。
「お主、名前は何と言うんじゃ」
「あ、ごめんなさい。自己紹介がまだでしたね。私は相楽景、この子は私と左之助さんの娘のしとりです。しとり、挨拶できる?」
「ん!しとりだよ!」
「おらは七宝じゃ。よろしくな、しとり」
「ん!ドンと親分も挨拶!」
「何じゃコイツら、犬か?」
「クズリとすねこすりです。クズリはイタチ科で、すねこすりも見た目的にはイタチ科っぽい何かだと。でも、二匹ともしとりの大切なお友達で私達の家族です」
そう言ってドンと親分を七宝に差し出す。
二匹ともヨダレをダラダラと垂らして、そういえばクズリもすねこすりも雑食でしたね。キツネなんて獲物にしか見えないのかな?