某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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鉄砕牙と蛮竜 序

ムスッとした表情で私達を見つめる犬夜叉は冥加様の話す白面の者の伝説を聞き、私達に対する警戒心を更に強めてしまっている気がする。

 

まあ、そうなることは予想していましたけど。

 

やはり憧れのヒーローに警戒されるのは悲しいです。そう思っていると刀の震える音と蛮竜の鼓動する音が響き渡る。そういえば、この二振りは時代を超えての再会ということになるんでしたね。

 

「(大鉾と妖刀の感動の再会……)」

 

「何かを呼んでるのか?」

 

「近くに刀々斎が来てるんだよ。行くぞ、赤鉢巻き」

 

「オレには相楽左之助って大事な人と両親から貰った名前があるんだよ、この銀髪ワンコが」

 

ズカズカと家の外に出ていく二人を追い掛けようかと思ったけど、刀々斎様に会えるのであれば私が近づいて説明せずとも遠目から見ているだけでも安心できますね。

 

そう考えながら七宝さんに独楽の回し方を教えて貰っているしとりを眺めていると日暮さんと、妖怪退治屋の珊瑚と助平生臭坊主の弥勒が私の側に寄ってきた。

 

「な、なにか?」

 

「改めて、私は弥勒と申します。相楽景様と言いましたが、いやはや随分と清浄な気配を纏う女性、是非とも彼と夫婦になる前にお近づきになりたかった」

 

「……あの、どう返事をすれば…」

 

「気にしないでいつもの事だから」

 

「法師様の馬鹿。相楽さん、ごめんね?」

 

「いえ、慣れているので」

 

そう言って日暮さんと珊瑚さんの言葉に答えると「慣れてる?」と二人揃って首を傾げてしまった。この戦国時代の人に話せる内容でもないから黙っておこう。

 

「お主、中々やるな」

 

「ん!しとりすごい!」

 

独楽を回して遊ぶ二人を微笑ましく見ていると地鳴りが響き、煤けた鉄の臭いが漂ってきた。多分、刀々斎様がやって来たんだと思う。

 

「景、ちょっと来てくれ」

 

「え?あ、はい…!」

 

しとりに「七宝さんと待っていてね」と伝えて、家の外に出るとギョロっとした目の飛び出た妖怪の刀鍛冶の刀々斎様と髑髏の首飾りを身に付けた髭面の妖怪の刀鍛冶が其処に立っていた。

 

「アイツが言うから期待してたが、こりゃ随分と清浄な気配を纏う人間の女だな」

 

「刀々斎、蛮竜は儂の鍛え直した大鉾だ」

 

「馬鹿者、総仕上げは儂じゃ」

 

「あの、私が呼ばれた理由は?」

 

この世界だと灰刃坊は刀々斎様に破門されていないのかと考えながら私が呼ばれた理由を訊ねると無言で玉箸を構えるので左之助さんの後ろに隠れる。

 

「お前さんじゃねえよ、儂が欲しいのは赤鉢巻きの方の歯だ。少なくとも蛮竜は赤鉢巻きを主人と認めとるし、ソイツと大鉾のつなぎ(・・・)には必要だ」

 

「お前を必要としているのは儂だ。大鉾の切れ味を取り戻すためにお前の血を分けろ、その血に流れてる神酒も合わされば蛮竜は完全に近付く」

 

「景、無理なら無理で良い」

 

「……いえ、やります。左之助さんのためなら私は頑張って血を吐く所存です!」

 

「いや、血は数滴で良い」

 

あ、そうなんですね。

 

 

 

 

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