「こりゃあ柄も変えにゃならんか」
「フン。それなら朴仙翁から切り出した幹の一部を使えば良いだろう。出し惜しみなんぞしたら蛮竜が怒るぞ、刀々斎」
「出し惜しみなんぞしとらんわ!」
大槌と小槌を振るって文句を言い合う刀々斎様と灰刃坊の会話を聴いていると柄の部分も作り替える必要があるという事になっていることに犬夜叉は「オレのときは刀を仕上げるだけだった癖に」と不服そうにしている。
なんだか申し訳ない気持ちになります。
でも戦国時代を代表する妖怪の刀鍛冶のお二人があんなにも真剣に左之助さんの蛮竜を仕上げることに協力して下さっている事実に私は嬉しく思います。
「赤鉢巻き、塗りはどうするよ?」
「前と同じで良い。黒が一番しっくり来るからよ」
左之助さんの言葉に蛮竜の穂先と石突の月牙を外し、朴仙翁の幹の一部を利用したという柄に移し替える作業を眺める途中、犬夜叉の鉄砕牙がガタガタと震えて、何かを訴えている様にも見えたその時だった。
背筋が凍てつくような恐怖と全身が恐ろしさにガタガタと震えてしまうほどの絶望感が身体を襲い、白面の者の尾と遭遇した時にも似た恐れが私を地面に縛り付ける。誰が来たのか、そんなのは分かりきっている。
「てめえ、殺生丸…!」
「なんだ、お前さんも一緒か」
「其処で会ったんだよ、な!」
「黙れ」
蛮骨……にしては少年という雰囲気や風貌ではなく髪の毛を短く整え、左之助さんの蛮竜と同じく───ううん、この戦国時代に生まれた当時の蛮竜を肩に担いで、人伝に聞いてきた蛮竜の転生者が其処に佇んでいた。
しかも殺生丸様と物凄く親しげにしている!!
どこか子供っぽい感じだけど。
「ん?へえ、珍しい女を連れてるな」
「え?きゃあっ!?」
私に視線を向けてきたかと思った次の瞬間、いきなり私の目の前に顔が重なりそうな距離まで近付いていた彼に驚きながらも左之助さんの腕に抱きつき、七宝さんの尻尾を撫でていたしとりを抱き締める。
「オレの女房に何しやがるッ!」
「むうぅ!しとりのとっちゃだめ!」
「いや、珍しい気配だったから同郷かと思ったんだよ。アンタも何となく分かるだろ……って、いや、まあ、こんなヤツに言われても困るか」
そう言って私達を見下ろして笑う蛮竜の転生者は、ずいっと右手を差し出してきた。しかし、それは左之助さんにじゃなくて、私に向かってだ。
「オレは戦骨、戦場の『戦』に骨肉の『骨』を繋げて戦う骨と書いて戦骨だ。今後とも宜しく頼むぜ、同郷の姉ちゃんや」
「だから、景に触るんじゃねえッ!!」
左之助さんの振るう右拳が蛮竜の転生者───戦骨の顔面を殴り抜いた瞬間、二重の極みが決まったのか。戦骨は血を吐いて飛んだ舞う。
こ、こういうとき、どうすればいいの!?