「ほれ、鍛え直したぞ」
「……妖気の桁が変わったな」
「そうなんですか?」
そういうものを視る感覚は分かりづらいため、私は左之助さんの言葉に共感することは出来ないけど。しとりはキラキラした目を蛮竜に向けている。
そして、現状の問題は殺生丸様である。
少なくとも人間の私達は眼中にないと信じたいけれど。戦骨と戦ってその強さを示してしまった左之助さんは少しだけ興味を持たれている。
いわゆる「おもしれー女」というキザなキャラや王子様、冷酷なタイプに、クールな男の人まで夢小説では、もはや定番とも言える展開を繰り広げる可能性もあり、どうしようもなくトキメキを感じています!
「悪寒を感じる。また何か考えてねえか?」
「悪いことは考えていないです」
そう言うと私の顔を見つめる左之助さんに、思わずポッと頬を赤らめてしまう。もう夫婦になって五年以上も経っているのに好きな人に見つめられるのは嬉しくて幸せで、少しだけ恥ずかしい。
「お二人は本当に仲良しですね。さぞや苦労を」
「分かるか、坊さん。オレも景と祝言を挙げるまで二度も拐われてな、何とか助けたんだがどうにもコイツを狙っているヤツが多くて困ってんだよ」
「す、すみません」
「いや、謝ることはないんだよ。ただ、最近だと白面の者っていう妖怪に狙われててな」
「へえ、アイツがソイツを?」
「天生牙が私を呼んだ理由はその女か」
なんだか大事になっている気がするような?そう思いながらも蛮竜を、この場合は神聖蛮竜と言えば良いのか。それを軽く振って感覚を確かめる左之助さんを眺める。
かっこいいです。
でも殺生丸様の呟きも気になります。天生牙が私に会いに来たような言い方、まるで私に不幸が訪れるような言い方だった。
不安がまた募ってきそうです。いえ、もう殺生丸様に私は睨まれたら終わるのでは?と思わずにはいられないのですが、杞憂に終わってほしいです。
「殺生丸、お前も気になるのか?」
「黙れ。うるさいぞ」
「ひっでえなぁ、オレ達は友達だろ?殺し合ったけど」
……戦骨は情緒不安定なのでしょうか。ニコニコと笑っていて、親しみやすさと彼の人柄の良さは分かるんですけど。どうにも戦国時代の環境に染まりきっているようにも見えますね。
かなり彼の言動を変に感じる。
「NTRは良い文明だが、今の奴らは分かるかな」
「NTRは悪い文明ですが?」
この人とは仲良くなれませんね。
ハッキリと分かりました。いつもいつも女学生や若奥様に左之助さんを狙われている私の気持ちが貴方は分からないんですね!?