二人の攻防は日が傾くまで続き、ついぞ決着は着かずに二人とも疲労困憊のまま倒れ伏すように地面に寝そべり、血と汗の滲んだ地面の上で顔だけを見合わせてお互いを睨み合っている。
男の人って物凄く意地っ張りですよね。
陥没した地面や岩を登ったりして、二人に近付いて左之助さんの土や血で汚れた顔を濡れた手拭いで拭き、耳掻きをするときのように横側に彼の頭を乗せて膝枕し、竹筒に入れて貰ったお水をゆっくりと飲ませてあげる。
「左之助さん、今日は楓様の家に泊めて貰えるそうです。しとりはもう眠っちゃいましたよ?」
「……おれは負けてねえぞ……」
「はい。左之助さんの勝ちです」
「いや、オレの勝ちだって……」
「貴方は張り合わないで下さい」
ズルリと地面を這いずりながら這い寄ってきた戦骨にも水の入った別の竹筒を渡し、私は左之助さんの身体に核鉄を当てて少しずつ治癒を促す。
斎藤一に返してもらったシリアルナンバー「XX」の熱は他の核鉄よりも治癒を促す能力が高く、何かしら別の要因があるのかと考えてしまう。
もしかしたら私の核鉄も付喪神的なものになっているのかしら?と思ったこともあるけど。五年程度ハダミ離さずに持っていなかっただけで、そう簡単に妖怪変化するとは思えない。
まあ、そうなったら核鉄のおかげで私は生きていけるのだからとても感謝している。願わくば、未来でも私達の子供を助けて欲しいです。
「景、ありがとうよ。おかげで楽になった」
「ズルいぜ、姉ちゃん。オレにもくれ」
「……貴方はもう動けるでしょう」
「あっ、分かる?」
グンッ!と逆立ちしたかと思えば腕力のみで飛び上がり、戦骨は楽しそうに立ち上がると「んじゃ、オレは殺生丸と灰刃坊に用事があるからまたな」と何事も無かったかのように走り出していった。
「手加減していた訳じゃねえよな」
「フフ、左之助さん相手に手加減するなんてどれだけ強い人だろうと無理ですよ。今は傷を治すことに専念して下さい。でも、あんな無茶はもうしちゃ嫌です」
「……分かった。だが、戦骨の野郎はオレに蛮竜の使い方を教えようとしていた、そんな気もするんだよ。まあ、本気で殺そうとしてやがったが」
少し不満そうに呟く左之助さんの頭を優しく撫でてあげていると視線を感じ、周囲を見渡すも何もいなかった。それに暗いから遠くまで見えないものね。
「景、苦しくねえか?」
「大丈夫です。お薬は飲みましたから」
「……それならいいけどよ」
左之助さんの心配してくれる優しさは嬉しいです。