新生蛮竜を手に入れた左之助さんは戦骨と引き分けたことを未だに引き摺っているらしく、御神木に宿っている時代樹の言葉を無視している。
それに戦国時代に私達を向かうように仕向けたのは、きっと時代樹の精霊と成った彼女でしょう。ただ、私を見つめる眼差しの意味は分かりませんけど。
そうして私は四魂のかけらを探す旅に戻った犬夜叉一行を見送り、未だに川原で灰刃坊と刀々斎様に蛮竜の能力の引き出し方を聞き出そうとしている左之助さんに視線を移し、三人のところに向かう。
「なあ、教えてくれよ。刀々斎の爺さん」
「わしが教えたら意味がないだろうに。犬夜叉と似て本当に聞き分けの無いヤツだな。第一、お前さんは蛮竜を振るうに値しておる。下手に逸らず、コツコツと努力を重ねてりゃ妖怪変化も使いこなせる」
「それじゃ遅すぎるし、意味がねえんだよ。あの時のオレは怒りに呑み込まれていた。悔しいが、戦骨の野郎が居なけりゃ景達を襲っていたかも知れねえんだ」
「……お前さん、気付いておったのか」
「そこまで馬鹿じゃねえ……」
二人の会話に足が止まる。
蛮竜に呑まれ掛けていた?
そんなこと昨日は教えてくれなかった。不安になりながらも左之助さんに近付いて、日暮さんに貰った包帯やガーゼ、傷薬を使って治療された彼の肩に触れる。
「どうかしたのか?」
「さっきの話って本当ですか?」
「聴こえてたのか。悪い、お前を不安にさせるつもりはなかったんだが…」
ゆっくりと私を胡座を掻く足の間に乗せてくれた左之助さんの傷だらけでボロボロになった大きな手が私の手を握り、私の不安を少しでも無くすために優しく話し掛けてくれる。
「死にませんか?」
「当たり前だろ。お前らを残して死ねるか」
「本当に?」
「おう。こうして蛮竜の使い方を聞いてるのだってそうならないように対策するためだ。景もしとりも産まれてくる子も守るために、あの白面の者を倒すためにも蛮竜は必ず必要になる筈だ」
「……信用します。でも不安です」
私はそう言ってしまう臆病さと不安を募らせてしまう自分の弱さに申し訳無さを抱きながらも左之助さんに守って貰える事に安堵している。
私はどうしようもなく卑しい女です。
「うぉっほん、そういうのは人目を避けな」
「お、おお、悪いな刀々斎の爺さん」
「す、すみません!」
ジロリと私と左之助さんを見据える刀々斎様に頭を下げて謝っていると、灰刃坊が「戦骨のヤツ、自分が頼んだものを忘れて帰りやがって」と文句を言い、風呂敷に包まれているものを抱き締めているのが視界に写った。