某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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右手に願いを 急

「小娘、右手を出しなさい」

 

「ん!」

 

椿の言葉に何の躊躇もなく右手を差し出したしとりに驚きながらも彼女の右手を支えるように私も右手を重ねて差し出すと「貴女は良いのよ、邪気を浄化するだけだから」と言われ、しとりの四魂の欠片の闇が消えた。

 

本当に邪気を浄化してもらえた。

 

「余りやりたくないけど。封印もし」

 

「椿婆さん、ソイツは止めとけ。下手に封印したら祓った邪気が弾けて、さっきみたいに別の妖怪が四魂の欠片を狙いにやって来るぞ」

 

「……フン。分かっているわよ」

 

やはり私の知っている黒巫女の椿より人の言葉に耳を傾けているように思う。戦骨のおかげなのだろうかと考えながら、清浄さを取り戻した四魂の欠片を埋め込まれたしとりの右手を撫でる。

 

絶対に綺麗に摘出してもらうから、もう少しだけ我慢してね。左之助さんもきっと時代樹に頼んで戦国時代に向かってきている筈だから────。

 

「しかし、景は本当に不運な奴だな。奈落に好かれるなんてよ、オレは椿婆さんみたいに面白くて綺麗な女の方が好きだけどな」

 

「こいつ、私に惚れてるのよ」

 

「恋に年齢は関係無いからな!」

 

「本当、美しいって罪だわ」

 

やれやれと呆れた溜め息を吐く椿に「こ、これなんですか?」と親指を突き立てて、ピコピコと動かしたら「そんなんじゃないわよ!?」と怒られた。

 

でも、そういうことなのでは?

 

ちょっとだけ私と左之助さんの関係を揶揄うときに親指をピコピコと動かしていた薫さんの気持ちが分かってきたかも知れないと私はドキドキしている。

 

「母ちゃん、これなに?」

 

「「はしたないから止めてね?」」

 

「?」

 

「全く、母者の始めた事だろうに」

 

うっ、そうですね。

 

しかし、恋に年齢は関係無い。確かにそうですね、私も左之助さんと五歳か六歳ほど年齢は離れていますが、余り気になった事はありません。

 

薫さんは三十路を越えた緋村剣心と夫婦になったわけですから、そちらのほうも凄いのでは?と思いながらも愛さえあれば年齢は問題ないですね。

 

ストーカーや粘着性の高い拗らせた人は嫌ですけど。

 

「景、人里まであと少しだからな」

 

「ありがとうございます」

 

「運んでいるのは私だけど。身重の母者を連れ去るなんてマジで奈落のクズは嫌になるわね。ストーカーするなら桔梗だけにしておけばいいのに」

 

「母ちゃんはしとりの!」

 

「フフ、そうですねぇ」

 

ギュッと私の身体を優しく抱き締めてくれるしとりの事を抱き締め返しながら、優しく彼女の頭を撫でていると人里の関所までやって来た。

 

……人がいないですね。

 

 

 

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